- 土地を相続したとき、どんな税金がかかるの
- 土地相続で発生する税金の基本知識
- 税負担を軽減する特例制度
土地を相続したとき、どんな税金がかかるの?

土地を相続することになったとき、「税金がいくらかかるのか」「いつまでに手続きが必要なのか」といった疑問を抱く方は少なくありません。相続税、登録免許税、固定資産税など、複数の税金が関わってくるため、全体像を把握することが重要です。
この記事で分かること:
- 土地相続で発生する税金の種類
- 各税金の計算方法と納付期限
- 税負担を軽減できる特例制度
- 相続から売却まで考える際のポイント
ただし、土地の評価額や相続人の状況により税額は大きく変わるため、個別の事情に応じた検討が必要になることを前提として整理していきます。
土地相続で発生する税金の基本知識
相続税の仕組み
相続税は、相続により取得した財産の価額が基礎控除額を超える場合に課税される税金です。基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算されます。
相続税の計算例:
- 法定相続人が配偶者と子2人(計3人)の場合
- 基礎控除額:3,000万円+600万円×3人=4,800万円
- 遺産総額が4,800万円以下なら相続税は発生しません
相続税の申告期限は相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内です。期限を過ぎると延滞税が発生する可能性があります。
土地の相続税評価額
土地の相続税評価額は、路線価方式または倍率方式で算定されます。
| 評価方式 | 対象地域 | 計算方法 |
|---|---|---|
| 路線価方式 | 市街地 | 路線価×土地面積×各種補正率 |
| 倍率方式 | 郊外・農村部 | 固定資産税評価額×評価倍率 |
路線価は公示地価の約80%、固定資産税評価額は約70%の水準に設定されているため、実際の時価よりも低く評価されることが一般的です。
登録免許税
[1]相続登記(名義変更)は2024年4月から義務化されており、相続開始から3年以内に申請する必要があります。[2]登録免許税の税率は固定資産税評価額の0.4%です。
登録免許税の計算例:
- 土地の固定資産税評価額:2,000万円の場合
- 登録免許税:2,000万円×0.4%=8万円
固定資産税・都市計画税
土地を所有している限り、毎年1月1日時点の所有者に固定資産税が課税されます。都市計画区域内の土地には都市計画税も併せて課税されます。
| 税金 | 税率 | 対象 |
|---|---|---|
| 固定資産税 | 1.4%(標準税率) | 全ての土地 |
| 都市計画税 | 0.3%(上限税率) | 市街化区域内の土地 |
税負担を軽減する特例制度

小規模宅地等の特例
小規模宅地等の特例により、一定の要件を満たす宅地は相続税評価額を大幅に減額できます。
| 宅地の種類 | 減額割合 | 限度面積 |
|---|---|---|
| 特定居住用宅地等 | 80% | 330㎡ |
| 特定事業用宅地等 | 80% | 400㎡ |
| 貸付事業用宅地等 | 50% | 200㎡ |
特定居住用宅地等の主な要件:
- 被相続人の居住用として使われていた宅地
- 配偶者が取得する場合:無条件で適用
- 同居親族が取得する場合:申告期限まで居住・所有継続
- 別居親族が取得する場合:家なき子特例の要件を満たす
相続税の税率構造
相続税は累進税率となっており、法定相続分に応じた取得金額により税率が決まります。
| 法定相続分に応じた取得金額 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 1,000万円以下 | 10% | - |
| 3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
| 5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
| 1億円以下 | 30% | 700万円 |
| 2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
| 3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
| 6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
| 6億円超 | 55% | 7,200万円 |
- 売却価格は物件の立地・状態・市況で大きく変わります。
- 税制や法律は変更される可能性があります。
- 具体的な判断は不動産会社や専門家への確認が前提です。
相続から売却まで考える場合のポイント
売却時の譲渡所得税
相続した土地を売却する場合、譲渡所得税の計算では以下の点を理解しておくことが重要です。
譲渡所得の計算式:
譲渡所得 = 売却価格 −(取得費 + 譲渡費用)
税率(復興特別所得税含む):
- 短期譲渡所得(所有期間5年以下):39.63%(所得税30.63% + 住民税9%)
- 長期譲渡所得(所有期間5年超):20.315%(所得税15.315% + 住民税5%)
相続により取得した土地の場合、被相続人の取得時期から計算するため、多くのケースで長期譲渡所得に該当します。
相続税額の取得費加算特例
相続開始から3年10ヶ月以内に相続財産を売却した場合、支払った相続税額の一部を取得費に加算できる特例があります。これにより譲渡所得を圧縮し、譲渡所得税を軽減できる可能性があります。
売却タイミングの考え方
| タイミング | メリット | 注意点 |
|---|---|---|
| 相続直後 | 相続税納付資金の確保取得費加算特例の活用 | 市場価格の十分な検討時間不足 |
| 数年後 | 市場動向を見極めて売却準備期間の確保 | 固定資産税等の維持コスト取得費加算特例の期限切れ |
相続税申告の判断基準

[1]相続税の申告が必要かどうかは、遺産総額が基礎控除額を超えるかで判断します。
申告が必要な場合の流れ:
- 相続財産の評価(土地は相続税評価額で計算)
- 基礎控除額との比較
- 申告書の作成・提出(相続開始から10ヶ月以内)
- 相続税の納付(現金納付が原則)
土地などの不動産が相続財産の大部分を占める場合、現金で納税できないケースも考えられます。その際は延納(分割払い)や物納(現物納付)といった制度も検討する必要があります。
まとめ
土地の相続では、相続税・登録免許税・固定資産税といった複数の税金が関わってきます。相続税については基礎控除額や小規模宅地等の特例により税負担を軽減できる場合があり、売却を検討する際は譲渡所得税や取得費加算特例も考慮に入れる必要があります。
ただし、物件や状況によって考え方は変わります。土地の評価額、相続人の数や関係性、相続財産全体の構成により、最適な対応策は大きく異なるためです。
より具体的な比較検討の方法は、別の記事で詳しく解説しています。個別の事情に応じた税務上の判断については、税理士等の専門家への相談も検討されることをおすすめします。
※個別の物件や状況により判断は異なります。税制改正により内容が変更される場合があります。