マンションを相続したら多くの場合相続税がかかる?

親族からマンションを相続することになった場合、「相続税はどのくらいかかるのだろう」「手続きが複雑で大変そう」といった不安を感じる方は多いでしょう。しかし、実際には相続税がかからないケースも少なくありません。
この記事では、マンション相続における相続税の基本的な仕組みと、相続税がかからない条件について整理します。ただし、個別の物件や相続状況により判断は大きく異なるため、一般的な考え方として参考にしてください。
- 相続税の基礎控除額と計算方法
- マンション相続時の評価額算定方法
- 相続税がかからないケースの条件
- 利用できる特例制度の概要
相続税の基本的な仕組み
基礎控除額の計算方法
相続税には基礎控除額が設定されており、相続財産の総額がこの金額以下であれば相続税はかかりません。基礎控除額の計算式は以下の通りです。
基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
| 法定相続人の数 | 基礎控除額 |
|---|---|
| 1人 | 3,600万円 |
| 2人 | 4,200万円 |
| 3人 | 4,800万円 |
| 4人 | 5,400万円 |
例えば、配偶者と子2人が相続人の場合(合計3人)、基礎控除額は4,800万円となります。相続財産の総額がこの金額以下であれば、相続税の申告も納税も不要です。
相続税がかからない人の割合
実際に相続税がかかる人の割合は、全体の約8~9%程度とされています。つまり、相続が発生した場合の約90%以上のケースでは相続税がかかっていないのが現状です。
マンション相続時の評価額算定

相続税評価額の決まり方
マンションの相続税評価額は、実際の市場価格(時価)ではなく、相続税法に基づく評価方法で算定されます。一般的に市場価格よりも低く評価されることが多いのが特徴です。
土地部分の評価
- 路線価方式:路線価 × 面積 × 持分割合
- 倍率方式:固定資産税評価額 × 評価倍率
建物部分の評価
固定資産税評価額がそのまま相続税評価額となります。固定資産税評価額は市場価格の60~70%程度に設定されることが一般的です。
マンション特有の評価減要因
マンションの場合、以下の要因により評価額が下がる可能性があります:
- 築年数の経過による建物価値の減少
- 共有持分による評価減
- 立地条件や管理状況による補正
- 売却価格は物件の立地・状態・市況で大きく変わります。
- 税制や法律は変更される可能性があります。
- 具体的な判断は不動産会社や専門家への確認が前提です。
相続税がかからないケースの判断ポイント
- 基礎控除内に収まるケース
- 小規模宅地等の特例が適用されるケース
- 特定居住用宅地等の特例
- 減額割合:80%
- 限度面積:330㎡まで
当てはまるほど、売却を具体的に検討するタイミングかもしれません。
基礎控除内に収まるケース
最も多いのは、相続財産の総額が基礎控除額以下に収まるケースです。マンション以外の財産も含めて総合的に判断する必要があります。
| 相続財産の例 | 評価のポイント |
|---|---|
| マンション | 相続税評価額で算定(市場価格より低い) |
| 現金・預貯金 | 額面通りの金額 |
| 生命保険金 | 500万円×法定相続人数まで非課税 |
| 借入金 | マイナス財産として控除 |
小規模宅地等の特例が適用されるケース
居住用のマンションの場合、小規模宅地等の特例により土地部分の評価額を大幅に減額できる可能性があります。
特定居住用宅地等の特例
- 減額割合:80%
- 限度面積:330㎡まで
- 主な適用条件:配偶者が取得する場合、または同居していた親族が取得し継続居住する場合
例えば、土地部分の評価額が2,000万円の場合、この特例により400万円(2,000万円×20%)まで減額される可能性があります。
配偶者の税額軽減が適用されるケース
配偶者が相続する場合、以下のいずれか多い金額まで相続税がかかりません:
- 1億6,000万円
- 配偶者の法定相続分相当額
相続手続きと期限

相続税の申告期限
相続税の申告が必要な場合、相続の開始があったことを知った日(通常は被相続人の死亡日)の翌日から10ヶ月以内に申告・納税する必要があります。
申告が不要でも必要な手続き
相続税がかからない場合でも、以下の手続きは必要です:
- 相続登記:マンションの名義変更
- 各種名義変更:管理費等の支払い名義、火災保険等
- 準確定申告:被相続人の所得税申告(必要な場合)
手続きにかかる費用の目安
| 手続き項目 | 費用の目安 |
|---|---|
| 相続登記 | 登録免許税:固定資産税評価額の0.4% |
| 司法書士報酬 | 5~10万円程度 |
| 税理士報酬(申告が必要な場合) | 30~100万円程度 |
| 各種証明書取得 | 数千円~1万円程度 |
注意すべきポイント
相続税がかからなくても申告が必要なケース
以下の特例を利用する場合は、相続税がゼロになっても申告が必要です:
- 小規模宅地等の特例を適用する場合
- 配偶者の税額軽減を適用する場合
- その他の特例制度を利用する場合
将来の売却時の注意点
相続したマンションを将来売却する際は、譲渡所得税の計算で「取得費」の考え方が重要になります:
- 取得費:被相続人が購入した価格(減価償却後)
- 取得日:被相続人が購入した日を引き継ぐ
- 所有期間:被相続人の所有期間を通算できる
複数人で相続する場合の考慮点
マンションを複数の相続人で共有する場合:
- 管理・処分に全員の合意が必要
- 将来の売却時に手続きが複雑化
- 共有者間でのトラブル発生リスク
まとめ

マンション相続で相続税がかからないケースは、以下の条件で判断されます:
- 基礎控除額以下:相続財産総額が「3,000万円+600万円×相続人数」以下
- 特例の適用:小規模宅地等の特例や配偶者控除により税額がゼロになる
- 評価額の特徴:相続税評価額は市場価格より低く算定される傾向
実際には相続税がかかるケースは全体の約8~9%程度であり、多くの場合で相続税の心配は不要です。ただし、個別の物件や相続状況によって考え方は変わります。
特例制度の適用を検討する場合や相続財産が基礎控除額に近い場合は、申告期限(10ヶ月以内)を踏まえた早めの準備が重要です。より具体的な判断方法や手続きの進め方は、別の記事で詳しく解説しています。