- 相続した土地を売却するかどうかで迷っている方へ
- 相続した土地売却の基本的な仕組み
- 売却を検討する際の主な判断ポイント
相続した土地を売却するかどうかで迷っている方へ

相続で土地を取得したものの、活用方法がわからず売却を検討している方は少なくありません。しかし、相続した土地の売却には一般的な不動産売却とは異なる税制上の特徴があり、タイミングや方法によって手取り額が大きく変わる可能性があります。
この記事で分かること:
- 相続した土地売却時の税金の基本的な仕組み
- 売却を検討する際の主な判断ポイント
- 売却時期による税負担の違い
- 売却以外の選択肢との比較の考え方
ただし、相続の状況や土地の条件、相続人の事情によって最適な判断は大きく異なります。一般的な考え方の整理として参考にしてください。
相続した土地売却の基本的な仕組み
相続時と売却時、2つのタイミングで税金が関わる
相続した土地の売却では、以下の2つのタイミングで税金が関係します:
| タイミング | 税金の種類 | 課税対象 |
|---|---|---|
| 相続時 | 相続税 | 相続財産全体の価額 |
| 売却時 | 譲渡所得税 | 売却による利益(譲渡所得) |
相続税の基本的な考え方
相続税は相続財産全体に対してかかる税金です。基礎控除額は3,000万円+600万円×法定相続人数で計算されます。この金額を超える相続財産がある場合、相続開始から10ヶ月以内に申告・納税が必要です。
土地の相続税評価額は、路線価方式または倍率方式で算定されます。居住用や事業用の土地については、小規模宅地等の特例により最大80%の評価減を受けられる場合があります。
売却時の譲渡所得税の仕組み
土地売却時の譲渡所得は以下の計算式で求められます:
譲渡所得 = 売却価格 −(取得費 + 譲渡費用)
相続した土地の場合、取得費は被相続人が当初購入した価格を引き継ぎます[1]。購入価格が不明な場合は、売却価格の5%を取得費として計算することになります。
譲渡所得税の税率は所有期間により異なります[2]:
- 短期譲渡所得(所有期間5年以下):39.63%(所得税30.63% + 住民税9%)
- 長期譲渡所得(所有期間5年超):20.315%(所得税15.315% + 住民税5%)
※所有期間は売却した年の1月1日時点で判定され、被相続人の所有期間を引き継ぎます。
相続税の取得費加算の特例
相続税を納税した場合、相続開始から3年10ヶ月以内に売却すれば、支払った相続税の一部を取得費に加算できる特例があります[3]。この特例により譲渡所得を圧縮し、税負担を軽減できる可能性があります。
- 売却価格は物件の立地・状態・市況で大きく変わります。
- 税制や法律は変更される可能性があります。
- 具体的な判断は不動産会社や専門家への確認が前提です。
売却を検討する際の主な判断ポイント

- 活用方法による比較
- 売却時期による税負担の違い
- 相続税の取得費加算特例:相続から3年10ヶ月以内の売却で適用
- 所有期間:被相続人の取得から5年超で長期譲渡所得の税率適用
- 確定申告のタイミング:売却した翌年の2月16日〜3月15日に申告[2]
当てはまるほど、売却を具体的に検討するタイミングかもしれません。
活用方法による比較
相続した土地の活用方法には複数の選択肢があります:
| 選択肢 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 売却 | 現金化、管理不要、税負担の確定 | 将来の値上がり益を逃す可能性 |
| 賃貸経営 | 継続的な収入、資産の保有 | 管理負担、空室リスク、修繕費用 |
| 自己利用 | 住居費の節約、資産の有効活用 | 立地制約、建築費用 |
| 保有継続 | 将来の選択肢を残せる | 固定資産税等の維持費用 |
売却時期による税負担の違い
相続した土地の売却時期は、以下の要因で税負担が変わります:
- 相続税の取得費加算特例:相続から3年10ヶ月以内の売却で適用
- 所有期間:被相続人の取得から5年超で長期譲渡所得の税率適用
- 確定申告のタイミング:売却した翌年の2月16日〜3月15日に申告[2]
売却方法の選択
土地の売却方法にも複数の選択肢があります:
| 方法 | 売却期間 | 売却価格 | 手間 |
|---|---|---|---|
| 仲介 | 3〜6ヶ月程度 | 市場価格に近い | 内覧対応等が必要 |
| 買取 | 最短1〜2週間程度 | 市場価格より低め | 手間は少ない |
| 分割売却 | 長期間 | 総額は高くなる可能性 | 複数回の手続き |
費用面での考慮事項
土地売却時には以下の費用が発生します:
- 仲介手数料:売買価格×3%+6万円+消費税(法定上限)
- 印紙税:売買契約書に貼付(契約金額により1,000円〜60,000円程度)
- 測量費用:境界確定が必要な場合(30〜100万円程度)
- 登記費用:所有権移転登記等(司法書士報酬含め数万円程度)
- 譲渡所得税:上記の計算による
相続人が複数いる場合の考え方
共有状態での売却
土地を複数の相続人で共有している場合、売却には全員の同意が必要です。主な方法は以下の通りです:
- 共有のまま売却:全相続人の同意で一括売却、代金を持分割合で分配
- 分筆後売却:土地を分割してそれぞれが売却、測量・分筆費用が必要
- 持分売却:自分の持分のみ売却、買い手が限定的で価格は低くなる傾向
相続人間での意見調整
売却方針について相続人間で意見が分かれる場合は、以下の観点での話し合いが重要です:
- 各相続人の経済状況や土地に対する考え方
- 売却代金の使途や必要性
- 保有を続ける場合の管理責任の分担
- 将来的な相続(次世代への継承)への影響
まとめ

相続した土地の売却では、相続税と譲渡所得税の両方を考慮した判断が必要です。特に相続税の取得費加算特例は3年10ヶ月という期限があるため、売却を検討する場合は早めの情報収集が重要です。
また、売却以外にも賃貸経営や自己利用などの選択肢があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。相続人が複数いる場合は、全員での話し合いと合意形成も欠かせません。
ただし、物件や状況によって考え方は変わります。土地の立地や形状、相続人の事情、地域の不動産市況などにより、最適な判断は大きく異なります。
より具体的な比較検討の方法は、別の記事で詳しく解説しています。個別の状況に応じた検討を進める際の参考にしてください。
※個別の物件や状況により判断は異なります。税務については税理士、法的事項については司法書士等の専門家にご相談ください。