- 親のマンション相続で知っておくべき基本事項
- 相続発生から必要な手続きの流れ
- マンション相続時の評価額と税金
親のマンション相続で知っておくべき基本事項

親が所有していたマンションを相続することになった場合、多くの方が「どんな手続きが必要なのか」「売却すべきか保有すべきか」といった疑問を抱えます。相続は人生で何度も経験するものではないため、手続きの流れや判断のポイントがわからないのは当然のことです。
この記事では、親のマンション相続における基本的な手続きの流れと、売却・保有それぞれのメリット・デメリットについて整理します。ただし、相続財産の総額や相続人の状況、物件の立地・築年数によって最適な選択は大きく変わることを前提としてお読みください。
- 売却価格は物件の立地・状態・市況で大きく変わります。
- 税制や法律は変更される可能性があります。
- 具体的な判断は不動産会社や専門家への確認が前提です。
相続発生から必要な手続きの流れ
親のマンション相続では、複数の手続きを期限内に完了させる必要があります。主要な手続きを時系列で整理すると以下のようになります。
相続開始から3ヶ月以内の手続き
相続放棄の検討期間[1]が最も重要な判断時期です。相続財産にはプラスの財産だけでなく、住宅ローンなどの負債も含まれるためです。
- 相続財産の調査(不動産、預貯金、負債の確認)
- 相続人の確定(戸籍謄本等の収集)
- 相続放棄または限定承認の判断
相続開始から10ヶ月以内の手続き
相続税申告の期限[2]までに、以下の手続きを完了させる必要があります。
- 不動産の評価額算定
- 遺産分割協議書の作成
- 相続税申告書の提出(基礎控除額を超える場合)
相続税の基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」[2]で計算されます。例えば相続人が2人の場合、4,200万円までは相続税がかかりません。
相続開始から3年以内の手続き
相続登記の申請期限[2]までに、マンションの名義変更を完了させる必要があります。登録免許税は固定資産税評価額の0.4%[3]が必要です。
マンション相続時の評価額と税金

相続したマンションの評価と税金について、基本的な考え方を整理します。
相続税評価額の算定方法
マンションの相続税評価額は、以下の方法で算定されます[2]。
| 部分 | 評価方法 | 特徴 |
|---|---|---|
| 土地部分 | 路線価×持分割合 | 時価の約80%水準 |
| 建物部分 | 固定資産税評価額 | 時価の約70%水準 |
一般的に、相続税評価額は市場価格よりも低く算定されるため、現金で相続するよりも税負担を軽減できる場合があります。
小規模宅地等の特例
被相続人の居住用マンションを相続する場合、小規模宅地等の特例[2]により評価額を80%減額できる可能性があります。主な適用条件は以下の通りです。
- 被相続人の居住用宅地であること
- 330㎡までの部分が対象
- 配偶者が取得する場合は無条件で適用
- 同居親族が取得し、申告期限まで居住継続する場合に適用
売却と保有の判断ポイント
相続したマンションを売却するか保有するかは、相続人の状況や物件の特性により判断が分かれます。それぞれのメリット・デメリットを比較してみましょう。
売却を選択する場合
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 現金化により遺産分割が容易 | 譲渡所得税の負担 |
| 維持管理費用が不要 | 売却手数料等の費用 |
| 固定資産税の負担解消 | 売却期間中の維持費負担 |
譲渡所得税の計算について、相続物件の場合は以下の点に注意が必要です。
譲渡所得 = 売却価格 −(取得費 + 譲渡費用)[4]
- 取得費:被相続人の購入価格(不明な場合は売却価格の5%)
- 所有期間:被相続人の取得日から通算
- 居住用財産の3,000万円特別控除は原則として適用されない
保有を選択する場合
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 賃貸収入による継続的な収益 | 空室リスク |
| 将来的な価格上昇の可能性 | 修繕費等の維持費負担 |
| 自己居住用としての活用 | 管理の手間 |
保有する場合の年間維持費用として、以下の項目を考慮する必要があります。
- 固定資産税・都市計画税(評価額の1.4%+0.3%程度)
- 管理費・修繕積立金(月額2〜3万円程度が一般的)
- 火災保険料(年額1〜3万円程度)
判断の考え方
売却・保有の判断は、以下の観点から総合的に検討することが重要です。
- 相続人の資金需要:相続税納税資金や生活資金の必要性
- 物件の収益性:賃貸した場合の利回りと維持費のバランス
- 立地・築年数:将来的な資産価値の見通し
- 相続人の居住予定:自己使用の可能性
例えば、駅近の築浅マンションで賃貸需要が見込める場合は保有、郊外の築古物件で維持費負担が重い場合は売却という判断になることが多いでしょう。
複数の相続人がいる場合の注意点

相続人が複数いる場合、マンションの取り扱いについて全員の合意が必要です。主な分割方法は以下の通りです。
- 現物分割:特定の相続人が単独でマンションを相続
- 換価分割:マンションを売却し、代金を分割
- 代償分割:マンションを相続した人が他の相続人に代償金を支払い
- 共有:複数の相続人で共同所有(将来のトラブルリスクあり)
共有での相続は、将来の売却や賃貸の際に全員の同意が必要となるため、可能な限り避けることが推奨されます。
まとめ
親のマンション相続では、相続開始から3ヶ月、10ヶ月、3年という重要な期限があり、それぞれに必要な手続きがあります。売却・保有の判断については、相続人の資金需要、物件の収益性、立地・築年数などを総合的に検討することが重要です。
相続税の特例措置や譲渡所得税の計算など、税務面での検討事項も多岐にわたります。また、複数の相続人がいる場合は、全員が納得できる分割方法を事前に話し合っておくことが大切です。
物件や相続人の状況によって最適な選択は大きく変わります。一般的な情報だけでは判断しきれない個別の事情も多いため、より具体的な検討の方法については、さらに詳しい記事をご覧ください。
※個別の物件や相続状況により判断は異なります。重要な決定の際は、税理士や不動産の専門家にご相談することをおすすめします。