- 相続した不動産を売却する際の税金について
- 相続不動産売却に関わる税金の基本知識
- 売却時の税金の考え方
相続した不動産を売却する際の税金について

相続で不動産を取得した後、「売却したら税金はどのくらいかかるのか」「どんな手続きが必要なのか」といった疑問を抱く方は多くいらっしゃいます。不動産の売却には複数の税金が関わり、相続の場合は特有の制度もあるため、基本的な仕組みを理解しておくことが大切です。
この記事では、相続不動産の売却に関わる税金の基本的な考え方と、知っておきたいポイントを整理します。ただし、物件の種類や相続の状況、売却のタイミングによって税額は大きく変わるため、あくまで一般的な情報として参考にしてください。
相続不動産売却に関わる税金の基本知識
主な税金の種類
相続不動産を売却する際に関わる主な税金は以下の通りです。
| 税金の種類 | 課税対象 | 税率の目安 |
|---|---|---|
| 相続税 | 相続した財産全体 | 10%〜55%(累進税率) |
| 譲渡所得税 | 売却による利益 | 約20%または約39% |
| 住民税 | 売却による利益 | 約5%または約9% |
| 登録免許税 | 相続登記 | 固定資産税評価額の0.4% |
相続税の基本的な仕組み
相続税は、相続した財産の総額が基礎控除額を超える場合に課税されます。基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算されます。例えば、法定相続人が2人の場合、基礎控除額は4,200万円となります。
相続税の申告と納税の期限は、相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内です[1]。この期限内に申告・納税を行う必要があります。
不動産の相続税評価額
相続税の計算では、不動産は以下の方法で評価されます:
- 土地:路線価方式または倍率方式
- 建物:固定資産税評価額
一般的に、相続税評価額は実際の市場価格よりも低く設定されることが多いとされています。
売却時の税金の考え方

譲渡所得税の基本
不動産を売却して利益が出た場合、譲渡所得税が課税されます。税率は所有期間によって異なります[2]:
| 所有期間 | 所得税 | 住民税 | 合計税率 |
|---|---|---|---|
| 5年以下(短期譲渡所得) | 30% | 9% | 39% |
| 5年超(長期譲渡所得) | 15% | 5% | 20% |
相続の場合、所有期間は被相続人の取得時から通算されるため、多くの場合は長期譲渡所得として扱われます。
譲渡所得の計算方法
譲渡所得は以下の計算式で求められます:
譲渡所得 = 売却価格 – 取得費 – 譲渡費用
- 取得費:相続の場合は相続税評価額または被相続人の取得費を引き継ぎ
- 譲渡費用:仲介手数料、印紙税、測量費など売却にかかった費用
売却にかかる諸費用
不動産売却時には以下のような費用がかかります:
| 費用項目 | 金額の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 仲介手数料 | 売却価格の3%程度 | 上限は売却価格×3%+6万円 |
| 印紙税 | 1万円〜6万円程度 | 売却価格により変動 |
| 登記費用 | 5万円〜15万円程度 | 司法書士報酬含む |
| 測量費 | 30万円〜80万円程度 | 境界確定が必要な場合 |
相続不動産売却で活用できる特例制度
居住用財産の3,000万円特別控除
相続した不動産が被相続人の居住用だった場合、一定の条件を満たせば譲渡所得から3,000万円を控除できる特例があります[1]。主な適用条件は以下の通りです:
- 被相続人が居住用として使用していた家屋または敷地
- 相続開始から3年を経過する年の12月31日まで
- 売却価格が1億円以下
- 特定の耐震基準を満たすまたは家屋を除却後の敷地
相続税の取得費加算の特例
相続税を支払った場合、その一部を譲渡所得の計算上、取得費に加算できる特例があります[1]。この特例は相続税の申告期限から3年以内に売却した場合に適用されます。
売却タイミングの考え方

- 期限を意識した判断
- 市場環境との兼ね合い
当てはまるほど、売却を具体的に検討するタイミングかもしれません。
期限を意識した判断
相続不動産の売却では、以下の期限を意識することが重要です:
| 手続き・特例 | 期限 | ポイント |
|---|---|---|
| 相続登記 | 相続開始から3年以内 | 2024年4月より義務化[3] |
| 相続税申告 | 相続開始から10ヶ月以内 | 基礎控除額を超える場合 |
| 3,000万円特別控除 | 相続開始から3年経過年末まで | 居住用財産の場合 |
| 取得費加算特例 | 相続税申告期限から3年以内 | 相続税を支払った場合 |
市場環境との兼ね合い
税制上の優遇期間と不動産市場の動向を総合的に考える必要があります。特例の適用期限内であっても、市場環境が良くない場合は売却時期を慎重に検討することも考えられます。
専門家との相談の重要性
複雑な計算と判断
相続不動産の売却に関わる税金計算は、以下の理由で複雑になることがあります:
- 複数の特例制度の組み合わせ
- 取得費の算定方法の選択
- 相続人が複数いる場合の持分の考え方
- 他の所得との合算による影響
相談先の整理
状況に応じて以下の専門家への相談を検討できます:
| 専門家 | 相談内容 | 費用の目安 |
|---|---|---|
| 税理士 | 税金計算、申告手続き | 相談料:1万円〜/時間 |
| 司法書士 | 相続登記、名義変更 | 登記費用:5万円〜15万円 |
| 不動産鑑定士 | 不動産評価 | 鑑定費用:20万円〜50万円 |
- 売却価格は物件の立地・状態・市況で大きく変わります。
- 税制や法律は変更される可能性があります。
- 具体的な判断は不動産会社や専門家への確認が前提です。
まとめ

相続不動産の売却では、相続税と譲渡所得税という2つの税金を中心に、複数の制度や特例が関わってきます。特に以下のポイントは重要です:
- 相続税は基礎控除額を超える場合に課税される
- 譲渡所得税は売却利益に対して課税される
- 居住用財産の特別控除など、相続不動産特有の優遇制度がある
- 各種特例には適用期限がある
- 売却にかかる諸費用も考慮する必要がある
ただし、物件や状況によって考え方は変わります。相続の状況、物件の種類、相続人の数、他の所得の有無などにより、最適な売却時期や方法は異なります。
より具体的な比較検討の方法は、別の記事で詳しく解説しています。実際の売却を検討される際は、個別の状況を踏まえた専門家への相談も含めて検討されることをお勧めします。
※個別の物件や状況により判断は異なります。税務に関する具体的な判断については、税理士等の専門家にご相談ください。