- 相続で土地を取得した場合の税負担はどうなる
- 相続税の基本的な仕組み
- 土地の相続税評価額の算定方法
相続で土地を取得した場合の税負担はどうなる?

相続により土地を取得した場合、「相続税がどのくらいかかるのか」「土地はどのように評価されるのか」といった疑問を持つ方は少なくありません。相続税は、相続により取得した財産の価額に応じて課税される税金で、土地についても一定のルールに従って評価されます。
この記事で分かること
- 相続税の基本的な仕組みと計算方法
- 土地の相続税評価額の算定方法
- 土地の相続における特例措置
- 相続税申告の手続きと期限
ただし、相続税の計算や土地の評価は個別の物件や相続人の状況により大きく異なるため、具体的な税額については税理士等の専門家への相談が必要です。
相続税の基本的な仕組み
相続税とは何か
相続税は、相続や遺贈により財産を取得した場合に課税される税金です。すべての相続に課税されるわけではなく、相続財産の合計額が基礎控除額を超えた場合にのみ課税されます。
相続税の納税義務者
- 相続により財産を取得した相続人
- 遺贈により財産を取得した受遺者
- 相続時精算課税の適用を受けた受贈者(一定の場合)
基礎控除額の計算方法
相続税には基礎控除額が設けられており、相続財産の合計額がこの金額以下であれば相続税は課税されません。
基礎控除額の計算式
3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
| 法定相続人の数 | 基礎控除額 |
|---|---|
| 1人 | 3,600万円 |
| 2人 | 4,200万円 |
| 3人 | 4,800万円 |
| 4人 | 5,400万円 |
相続税の税率と税額計算
相続税は累進税率が適用され、課税価格が高くなるほど税率も上がります。
| 法定相続分に応じる取得金額 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 1,000万円以下 | 10% | – |
| 3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
| 5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
| 1億円以下 | 30% | 700万円 |
| 2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
| 3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
| 6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
| 6億円超 | 55% | 7,200万円 |
土地の相続税評価額の算定方法

土地評価の基本的な考え方
相続税における土地の評価額は、時価ではなく相続税評価額により算定されます。この評価額は一般的に時価よりも低く設定されており、主に以下の2つの方式で算定されます。
路線価方式による評価
市街地にある土地については、路線価方式により評価します。
路線価方式の計算方法
路線価 × 各種補正率 × 土地面積
- 路線価:道路に面する標準的な宅地1㎡当たりの価額
- 補正率:土地の形状、立地条件による補正
- 主な補正要因:奥行き、間口、角地、不整形地など
倍率方式による評価
路線価が設定されていない地域の土地については、倍率方式により評価します。
倍率方式の計算方法
固定資産税評価額 × 評価倍率
- 固定資産税評価額:市町村が決定する評価額
- 評価倍率:国税庁が地域ごとに定める倍率
土地評価における特殊事情
土地の評価においては、以下のような特殊事情も考慮されます。
- 貸家建付地:賃貸物件が建っている土地は評価額が減額
- 借地権:地上権や借地権の設定がある場合の評価
- 私道:私道部分の評価減
- がけ地等:利用価値の低い土地の評価減
土地の相続における特例措置
小規模宅地等の特例
一定の要件を満たす土地については、小規模宅地等の特例により相続税評価額を大幅に減額できます。
| 土地の種類 | 限度面積 | 減額割合 |
|---|---|---|
| 居住用宅地(特定居住用宅地等) | 330㎡ | 80% |
| 事業用宅地(特定事業用宅地等) | 400㎡ | 80% |
| 貸付事業用宅地(貸付事業用宅地等) | 200㎡ | 50% |
特定居住用宅地等の適用要件
居住用宅地で80%減額を受けるための主な要件は以下の通りです。
- 配偶者が取得:要件なし(無条件で適用)
- 同居親族が取得:相続開始前から同居し、申告期限まで居住・所有継続
- 家なき子が取得:相続開始前3年以内に持ち家に住んでいない等の要件
特例適用時の注意点
- 特例の適用には相続税の申告が必要(税額が0円でも申告要)
- 複数の土地がある場合は選択適用
- 要件を満たさなくなった場合の追徴課税リスク
土地の相続における分割と税務上の取扱い

土地の分割方法
相続した土地を複数の相続人で分割する場合、以下の方法があります。
| 分割方法 | 内容 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| 現物分割 | 土地を物理的に分筆 | 各自が土地を取得 | 利用価値が下がる可能性 |
| 代償分割 | 1人が土地を取得し他の相続人に代償金を支払い | 土地の一体性を保持 | 代償金の準備が必要 |
| 換価分割 | 土地を売却して代金を分割 | 公平な分割が可能 | 売却費用・税負担が発生 |
| 共有 | 土地を共有名義で相続 | 分割協議が不要 | 将来の処分で全員の同意が必要 |
分割方法による税務上の違い
- 現物分割・代償分割:原則として譲渡所得税は課税されない
- 換価分割:売却により譲渡所得税が課税される可能性
- 共有:相続時点では課税なし、将来売却時に持分に応じて課税
相続税申告の手続きと期限
申告が必要な場合
以下の場合には相続税の申告が必要です。
- 相続財産の合計額が基礎控除額を超える場合
- 小規模宅地等の特例により税額が0円になる場合
- 配偶者の税額軽減により税額が0円になる場合
申告期限と納税期限
相続税の申告・納税期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内です。
期限に関する注意点
- 土地の評価や分割協議に時間がかかる場合が多い
- 期限後申告の場合は加算税・延滞税が課税
- 申告期限の延長は原則として認められない
申告に必要な主な書類
- 相続税申告書
- 戸籍謄本等(相続人確定のため)
- 土地の登記事項証明書
- 固定資産税評価証明書
- 路線価図・評価倍率表
- 土地の測量図・公図
- 小規模宅地等の特例適用の場合は住民票等
- 売却価格は物件の立地・状態・市況で大きく変わります。
- 税制や法律は変更される可能性があります。
- 具体的な判断は不動産会社や専門家への確認が前提です。
まとめ

相続税における土地の取扱いは、評価方法から特例措置、申告手続きまで複雑な仕組みとなっています。基礎控除額により相続税が課税されない場合もありますが、土地の評価額は路線価方式または倍率方式により算定され、小規模宅地等の特例により大幅な減額が可能な場合もあります。
重要なポイントは以下の通りです。
- 基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」
- 土地の評価は路線価方式または倍率方式で算定
- 小規模宅地等の特例により最大80%の減額が可能
- 申告期限は相続開始を知った日から10ヶ月以内
ただし、物件や状況によって考え方は変わります。土地の形状や立地条件、相続人の状況、分割方法により税負担は大きく異なるため、個別の事情で判断が分かれます。
より具体的な税額計算や特例適用の可否については、別の記事で詳しく解説しています。実際の相続税申告を検討される際は、税理士等の専門家にご相談いただくことをおすすめします。
※個別の物件や状況により判断は異なります。具体的な税務処理については税理士等の専門家にご相談ください。