空き家の相続放棄を考えたときに整理しておきたい基礎知識

本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の状況により最適な判断は異なります。必要に応じて公的情報や専門家へご確認ください。

この記事の要点
  • 親の実家が空き家になったとき、相続放棄という選択肢をどう考えるか
  • 相続放棄の基本的な仕組み
  • 相続放棄しても管理義務は残る場合がある

親の実家が空き家になったとき、相続放棄という選択肢をどう考えるか

親が亡くなり、誰も住んでいない実家が手元に残ったとき、「管理できない」「維持費がかかる」「売れるかどうかもわからない」という不安から、相続放棄を検討する方が増えています。

相談事例の多くは、親がもともと住んでいた自宅、つまり実家が空き家になったケースであり、長い間空き家になってしまっている家は、相続問題が複雑に絡み合ってしまっているものも多くあります [1]

ただし、相続放棄は「空き家だけを手放せる手続き」ではありません。制度の仕組みや放棄後に残る義務を理解したうえで、どの選択肢が自分の状況に合っているかを整理することが、判断の出発点になります。

この記事で整理すること

  • 相続放棄の基本的な仕組みと手続きの流れ
  • 放棄しても残る管理義務の考え方
  • 空き家を相続した場合の売却・処分の選択肢
  • よくある誤解と判断の落とし穴
  • 状況別の考え方の整理

個別の物件や状況により判断は異なります。この記事は一般的な情報の整理を目的としており、具体的な判断は専門家への確認をあわせてご検討ください。

相続放棄の基本的な仕組み

相続放棄とは何か、まず制度の輪郭を整理します。放棄という言葉から「不要な財産だけを手放せる」と思いがちですが、法律上の扱いはそれとは異なります。

相続放棄は「全財産を対象にする」手続き

相続放棄とは、相続人が被相続人の遺産(権利や義務)を全て受け取らないとする、家庭裁判所の手続きです [2]

相続放棄は、すべての財産を一切放棄する手続きであり、特定の財産だけを指定して放棄することはできません [8]

相続放棄をする場合、空き家だけでなく全ての相続財産を放棄する必要があります。たとえば預貯金や他の不動産なども含めて、すべての相続財産が対象になります。[5]

相続放棄をすると、被相続人のプラスの財産(預貯金、不動産など)とマイナスの財産(借金など)のすべてを相続する地位を完全に失います。[9]

この点が、「空き家だけを放棄したい」という希望と制度の実態がずれやすい部分です。預貯金や他の財産も手放すことになるため、相続財産全体を把握したうえで検討することが判断の前提になります。

相続放棄の手続き方法

相続の放棄をしようとする者は、その旨を家庭裁判所に申述しなければなりません。[10]

相続が開始した場合、相続人は単純承認、相続放棄、限定承認の三つのうちのいずれかを選択できます。[11]

手続きの場所は家庭裁判所です。自分で申述することも可能ですが、手続きの内容や必要書類については、家庭裁判所の窓口や専門家への確認が判断材料になります。

相続放棄の期限

相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければなりません。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができます [3]

この期限は「相続開始を知った日」から起算されます。相続財産の調査に時間がかかる場合は、期限内に家庭裁判所へ伸長の申立てを行うことが選択肢になります。

相続放棄は撤回できない

相続の承認及び放棄は、民法第九百十五条第一項の期間内でも、撤回することができません。[12]

一度放棄の申述が受理されると、原則として取り消しはできません。財産の状況を十分に確認しないまま放棄を決めてしまうと、後から「やはり相続しておけばよかった」という状況になっても対応できないケースがあります。

相続放棄しても管理義務は残る場合がある

相続放棄をすれば空き家の責任からも完全に解放される、と考えている方は少なくありません。しかし、放棄後も一定の管理義務が残るケースがあります。

「現に占有している人」には保存義務が残る

相続放棄をしても空き家を「現に占有している」人にはその空き家を適切に管理・保存する義務が発生します [4]

民法改正により、相続放棄後の管理義務は「現に占有している人」が負うというルールになりました [13]

2023年4月1日に施行された改正民法により、相続放棄後の管理責任のルールが変わりました [14]

「現に占有している」とは、実際に物件を使用・管理している状態を指します。たとえば、亡くなった親の実家に荷物を置いたまま管理を続けているケースなどが該当する可能性があります。具体的に自分の状況が該当するかどうかは、専門家への確認が判断材料になります。

管理義務が解消されるまでの流れ

相続放棄が家庭裁判所で認められた時点で、その相続人は「初めから相続人ではなかった」ことになりますが、相続財産に属する空き家などを放置することはできません [15]

管理義務を解消するためには、相続財産清算人の選任などの手続きが必要になる場合があります。具体的な手続きの内容や費用については、家庭裁判所や専門家への確認が必要です [5]

相続放棄を検討する前に確認しておきたい項目

  • 相続財産全体(預貯金・他の不動産・負債)の内容を把握しているか
  • 空き家を現在占有・管理している状態にあるか
  • 他の相続人がいる場合、その人への影響を確認しているか
  • 放棄した後の管理義務の有無を専門家に確認したか
  • 期限(相続開始を知った日から三箇月以内)を把握しているか
  • 放棄以外の選択肢(売却・活用・限定承認など)を検討したか

相続放棄しなかった場合の選択肢:空き家をどう処分するか

相続放棄を選ばず、空き家を相続したうえで処分・活用を検討する方法もあります。それぞれの選択肢には異なる特徴があります。

選択肢の比較

選択肢 特徴 向いているケース 注意点
売却(仲介) 市場価格に近い金額を目指せる 立地が良い・状態が比較的良い 内覧対応や売却期間が必要
売却(買取) 短期間で完了しやすい 早期に手放したい・状態が悪い 手取り額が下がる傾向がある
賃貸活用 継続的な収入が見込める 立地が良い・管理できる 修繕費用・管理の手間が発生
相続土地国庫帰属 土地を国に引き渡せる制度 建物がない土地 建物がある場合は申請不可・負担金あり
解体後に売却 更地として売りやすくなる場合がある 建物の状態が著しく悪い 解体費用が発生する

相続土地国庫帰属制度について

相続土地国庫帰属制度は令和5年4月27日から開始しています。相続した土地について、「遠くに住んでいて利用する予定がない」「周りの土地に迷惑がかかるから管理が必要だけど、負担が大きい」といった理由により、土地を手放したいというニーズに対応するために設けられた制度です。[16]

ただし、建物がある土地は国庫帰属の承認申請をすることができません。空き家が建っている場合は、この制度の対象外となります。[17]

土地所有権の国庫への帰属の承認を受けた者は、承認された土地につき、国有地の種目ごとにその管理に要する10年分の標準的な費用の額を考慮して算定した額の負担金を納付しなければなりません。[18]

相続土地国庫帰属制度は、建物のない土地に限られる点が重要な条件です。空き家(建物)が存在する場合は、まず建物の解体を検討したうえで申請要件を確認することになります。具体的な申請方法や手続きの詳細は、公式情報で確認してください。

空き家を売却する場合に知っておきたい税務の考え方

相続した空き家を売却する場合、売却益への課税の扱いを理解しておくことが判断材料の一つになります。ここでは制度の存在を整理します。具体的な適用可否・計算・申告手続きは、税務の専門家への確認が必要です。

譲渡所得と費用の考え方

不動産を売却して利益が出た場合、その利益(売却価格から取得費や売却にかかった費用を差し引いた金額)に対して課税が生じる可能性があります。税率や控除の条件は所有期間や物件の状況によって変わるため、該当する公的機関の情報を確認してください。

売却時に発生する費用の種類としては、不動産会社への手数料、契約書に関する費用、登記関連の費用などが挙げられます。具体的な金額は契約条件や取引内容によって異なります。

相続した空き家の売却に関する特例制度

相続または遺贈により取得した被相続人居住用家屋または被相続人居住用家屋の敷地等を、平成28年4月1日から令和9年12月31日までの間に売って、一定の要件に当てはまるときは、譲渡所得の金額から最高3,000万円まで控除することができます [6]

被相続人の居住の用に供していた家屋及びその敷地等を相続した相続人が、相続開始の日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに、一定の要件を満たして当該家屋又は土地を譲渡した場合には、当該家屋又は土地の譲渡所得から3,000万円を特別控除する特例措置があります [7]

この特例は、すべての相続空き家に自動的に適用されるものではありません。要件を満たしているかどうかの確認、および申告手続きについては、税務の専門家または公的機関の窓口への確認が必要です。

公式確認先について

空き家売却時の税務上の特例(適用要件・控除額・申告手続きなど)の詳細は、税務の公的機関が公表している情報を確認してください。制度の内容は改正される場合があるため、最新の公式情報をもとに判断することが大切です。

固定資産税への影響

空き家であっても、土地と家屋には課税が行われ、その年の1月1日時点の所有者に納税の義務があります。[19]

空き家を放置し続けると、保有時の課税負担が大きく跳ね上がってしまうこともあります。[20]

相続した空き家を長期間放置することは、管理コストの増加だけでなく、課税上の不利益につながる場合があります。具体的な課税の仕組みや計算方法については、公的機関の情報を確認してください。

状況別の考え方:どのケースにどの選択肢が合うか

もし:ケース別の判断軸
→ 詳しくは本文をご確認ください
もし:優先する条件別の選択基準
→ 詳しくは本文をご確認ください
売却を検討しやすいチェック
  • ケース別の判断軸
  • 空き家以外に相続財産がほとんどなく、建物の状態も悪い場合→ 相続放棄を検討する余地がある。ただし放棄後の管理義務の有無を専門家に確認することが先決
  • 空き家以外に預貯金や別の不動産がある場合→ 放棄するとすべての財産を失うため、限定承認や相続後の売却なども含めて検討する
  • 空き家の立地が良く、売却できる見込みがある場合→ 相続したうえで売却を検討する。仲介・買取の比較が判断材料になる
  • 建物のない土地を相続した場合→ 相続土地国庫帰属制度の活用が選択肢になりうる

当てはまるほど、売却を具体的に検討するタイミングかもしれません。

相続放棄か相続かの判断は、財産の内容・物件の状態・家族構成などによって異なります。以下は一般的な状況の整理です。

ケース別の判断軸

  • 空き家以外に相続財産がほとんどなく、建物の状態も悪い場合 → 相続放棄を検討する余地がある。ただし放棄後の管理義務の有無を専門家に確認することが先決
  • 空き家以外に預貯金や別の不動産がある場合 → 放棄するとすべての財産を失うため、限定承認や相続後の売却なども含めて検討する
  • 空き家の立地が良く、売却できる見込みがある場合 → 相続したうえで売却を検討する。仲介・買取の比較が判断材料になる
  • 建物のない土地を相続した場合 → 相続土地国庫帰属制度の活用が選択肢になりうる
  • 複数の相続人がいて意見が一致しない場合 → 共有者がいる土地では、売却前に権利関係と手続きの確認が必要。専門家への相談が判断材料になる
  • 相続開始から時間が経過している場合 → 放棄の期限(相続開始を知った日から三箇月以内)を確認し、期限が過ぎていれば放棄はできない

優先する条件別の選択基準

  • 負債を引き継ぎたくないことを最優先にする場合 → 相続放棄が有力な選択肢。ただし全財産を失うことを前提に判断する
  • 空き家の売却益を最大化することを優先する場合 → 相続したうえで仲介売却を検討する。売却期間と内覧対応が必要になる
  • 早期に手放すことを優先する場合 → 相続後に買取を活用する選択肢がある。手取り額は下がる傾向があるが、短期間での完了が見込める
  • 管理の手間をできるだけ省きたい場合 → 放棄後の管理義務の有無を確認したうえで、放棄か売却かを選ぶ
  • 税務上の特例を活用したい場合 → 相続後に一定期間内に売却する方針が条件になりうる。専門家への確認が先決

具体的なシナリオで考える

状況の違いによって判断がどう変わるか、一般化されたシナリオで整理します。

シナリオ①:実家を相続したが、遠方に住んでいて管理できないケース

親が亡くなり、地方の実家を相続したが、自分は遠方に住んでいて管理できない状況。建物の状態は経年劣化が進んでいる。

このケースでは、まず相続財産全体(預貯金・他の資産・負債)を把握することが出発点になります。空き家以外に財産がほとんどない場合は相続放棄が選択肢になりますが、放棄後に「現に占有している」状態にあれば管理義務が残る可能性があります。

一方、立地によっては売却が可能なケースもあります。状態が悪い場合でも買取を活用すれば短期間での処分が見込めます。売却を選ぶ場合は、相続後の売却期間中も固定資産税などの維持費が発生することを念頭に置く必要があります。

どちらの選択肢が合うかは、財産全体の状況と物件の売却可能性を専門家とともに確認することで整理しやすくなります。

シナリオ②:相続放棄を検討したが、特例制度の存在を後から知ったケース

空き家の管理が負担で相続放棄を検討していたが、後から売却時の特例制度の存在を知ったケース。

被相続人の居住の用に供していた家屋及びその敷地等を相続した相続人が、相続開始の日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに、一定の要件を満たして譲渡した場合には、一定の特別控除が適用される可能性があります [7]

この特例は相続放棄をした場合には適用できません(相続放棄をすると財産を取得していないため)。また、相続後も一定の期間内に売却することが要件の一つになります。特例の存在を知らないまま放棄を決めてしまうと、後から取り消しができない(撤回不可)という問題が生じます。

相続放棄を決断する前に、売却した場合の税務上の扱いを専門家に確認しておくことが、選択肢を広げる助けになります。

よくある誤解と失敗パターン

相続放棄と空き家の処分に関しては、誤解に基づいた判断が後から問題になるケースが報告されています。代表的な落とし穴を整理します。

誤解①:相続放棄すれば空き家の責任は完全になくなる

相続放棄をしても、相続財産を現に占有している相続人については、引き続き財産の管理をしなければならない場合があります [21]

「放棄すればすべて終わり」という認識は正確ではありません。放棄後も現に占有している状態にあれば管理義務が残るため、放棄前に自分の状況を専門家に確認することが重要です。

誤解②:空き家だけを選んで放棄できる

「この空き家は要らないが、預貯金は受け取りたい」という希望は、制度上実現できません。相続放棄はすべての財産を対象にする手続きです。特定の財産だけを選んで手放したい場合は、相続放棄ではなく遺産分割の話し合いや、相続後の売却・贈与などの別の方法を検討することになります。

誤解③:相続放棄の期限は「相続開始日」から数える

相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければなりません [22]

起算点は「相続開始日(被相続人の死亡日)」ではなく、「自己のために相続の開始があったことを知った時」です。遠方に住んでいて連絡が遅れた場合や、先順位の相続人が全員放棄して自分に相続権が回ってきた場合は、その事実を知った日から起算されます。この点を誤解したまま期限を見誤るケースがあります。

誤解④:放棄後は何もしなくてよい

相続放棄が受理された後も、後順位の相続人や相続財産清算人が選任されるまでの間、管理義務が残る場合があります。「放棄したから終わり」と判断して空き家を完全に放置すると、近隣への影響や行政からの指導につながる可能性があります。管理義務の解消手続きについては専門家への確認が必要です [5]

よくある失敗パターン:財産全体の確認前に放棄を決める

空き家の管理負担だけに目が向き、財産全体の内容を確認しないまま放棄を決めてしまうケースがあります。後から「実は預貯金があった」「負債はほとんどなかった」と判明しても、放棄は撤回できません。相続財産全体の調査を行ったうえで判断することが、後悔を減らす助けになります。

仲介と買取の基本的な違い(空き家売却を選ぶ場合)

相続放棄を選ばず、空き家を相続して売却する場合、仲介と買取のどちらを選ぶかが次の判断になります。

比較軸 仲介 買取
価格水準 市場価格に近い水準を目指せる 市場価格より低くなる傾向がある
売却期間 物件・市場状況により幅がある 短期間で完了しやすい
内覧対応 必要(複数回になる場合がある) 原則不要
手数料の有無 不動産会社への手数料が発生する 原則不要
状態が悪い物件 売却が難しくなる場合がある 現状のまま対応できるケースが多い

空き家の場合、建物の状態・立地・相続人の状況(遠方在住・複数人など)によって適した方法は変わります。どちらが良いというわけではなく、それぞれの条件を比較することが判断材料になります。

査定価格の見方

売却を検討する際、査定価格は売出し価格を考えるための参考情報です。査定価格が高いことは、その会社が必ずしも良い会社であることを意味しません。極端に高い査定は、契約を取るための高預かりの可能性もあるため、価格の根拠や条件の違いを比較することが判断材料になります。

査定には、物件情報から概算を算出する机上査定と、実際に物件を確認して算出する訪問査定があります。空き家の場合、現地の状態が価格に影響するため、訪問査定で実態を把握したうえで比較することが選択肢の整理につながります。

よくある質問

相続放棄をすれば、空き家の管理義務はすべてなくなりますか?
相続放棄をしても、空き家を「現に占有している」人には管理・保存の義務が残る場合があります。放棄すれば即座にすべての責任がなくなるわけではないため、自分の状況が「現に占有している」状態に該当するかどうかを専門家に確認することが判断材料になります。
相続放棄の手続きはどこで行いますか?
相続の放棄をしようとする者は、その旨を家庭裁判所に申述しなければなりません。手続きの詳細や必要書類については、家庭裁判所の窓口または専門家(弁護士・司法書士)への確認が判断材料になります。
相続放棄の期限を過ぎてしまった場合はどうなりますか?
相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に放棄をしなければなりません。この期間を過ぎると原則として放棄はできなくなります。ただし、期間内であれば家庭裁判所に伸長の申立てができる場合があります。期限が過ぎてしまった場合の対処については、専門家への確認が必要です。
相続した空き家を売却する場合、税務上の特例はありますか?
相続または遺贈により取得した被相続人居住用家屋等を一定の要件を満たして売却した場合、譲渡所得の金額から最高3,000万円まで控除できる特例制度があります。ただし適用には要件があり、すべての空き家に自動的に適用されるわけではありません。具体的な適用可否や手続きは、税務の専門家または公的機関の窓口で確認してください。
相続放棄後、空き家を国に引き渡す方法はありますか?
相続土地国庫帰属制度という制度がありますが、建物がある土地は申請できません。空き家(建物)が建っている場合は対象外となります。また、相続放棄をした場合は財産を取得していないため、この制度の申請者にもなれません。建物のない土地を相続した場合の選択肢として、制度の詳細は公式情報で確認してください。

まとめ

空き家の相続放棄は、「空き家だけを手放せる手続き」ではなく、すべての相続財産を対象にする法律上の手続きです。放棄を選ぶ場合は、財産全体の内容を把握したうえで判断することが基本になります。

また、放棄後も「現に占有している」状態にあれば管理義務が残る可能性があります。「放棄したから終わり」という認識は、後からトラブルにつながるリスクがあります。

一方、相続放棄を選ばず空き家を相続したうえで売却・活用・国庫帰属などの処分を検討する方法もあります。相続した空き家を売却する場合は、一定の要件を満たせば税務上の特例制度が活用できる可能性もありますが、適用条件の確認と手続きは専門家への相談が前提になります。

この記事のポイント整理

  • 相続放棄は特定の財産だけを対象にできない(全財産が対象)
  • 放棄の手続きは家庭裁判所への申述が必要
  • 放棄の期限は「相続開始を知った日から三箇月以内」(伸長申立ての制度あり)
  • 一度放棄すると原則として撤回できない
  • 放棄後も現に占有している場合は管理義務が残る可能性がある
  • 空き家の売却には仲介・買取・国庫帰属など複数の選択肢がある
  • 売却時の税務上の特例制度は要件確認と専門家への相談が必要

物件や状況によって考え方は変わります。この記事で整理した内容は一般的な情報であり、具体的な判断は個別の事情によって異なります。より具体的な選択肢の比較や手続きの進め方については、さらに詳しい記事や専門家への確認をあわせてご活用ください。

参考文献

  1. 相続でトラブルにならないために-NPO法人 空家・空地管理センター(NPO法人 空家・空地管理センター)
  2. 空き家を相続放棄するときに知っておきたい基礎知識【2023年民法改正対応】 – 弁護士コラム(弁護士コラム -)
  3. 民法 (e-Gov 法令検索 / 明治29年法律第89号)(elaws.e-gov.go.jp)
  4. 相続放棄しても空き家の管理義務は残る?いつまで? 免れるための対処法 | 相続会議(相続会議)
  5. 空き家の相続放棄(NPO法人 空家・空地管理センター)
  6. No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例|国税庁(nta.go.jp)
  7. 住宅:空き家の発生を抑制するための特例措置(空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除) – 国土交通省(mlit.go.jp)
  8. 空き家の相続放棄で注意すべき保存義務とは?どこよりも詳しく解説! | 相続遺言の相談窓口【みつ葉グループ】(mitsubagroup.co.jp)
  9. 相続放棄しても空き家を管理する義務は消えない?責任回避の条件と手続き、注意点を解説 | 弁護士法人 i 東大阪法律事務所 相続サイト(弁護士法人 i 東大阪法律事務所 相続サイト | Just another WordPress site)
  10. 民法 (e-Gov 法令検索 / 明治29年法律第89号)(elaws.e-gov.go.jp)
  11. 相続の放棄の申述(courts.go.jp)
  12. 民法 (e-Gov 法令検索 / 明治29年法律第89号)(laws.e-gov.go.jp)
  13. 空き家を相続放棄しても管理義務が残る?免れる方法と注意点について解説  | 相続不動産 (住栄都市サービス)(相続不動産)
  14. 相続放棄したら終わり、ではなかった|空き家の管理責任・リスクについて – 横須賀の弁護士による 相続・遺産分割の無料相談(横須賀の弁護士による 相続・遺産分割の無料相談 – 【横須賀の相続・遺産分割無料相談】相続問題でお困りですか?税理士・司法書士有資格の弁護士が遺産分割・遺言・相続放棄から相続税申告までワンストップで解決。初回相談45分無料。年間相談1000件の実績。横須賀市・三浦市・逗子市・葉山町等に対応。遺産分割・遺言・相続放棄は虎ノ門法律経済事務所へ。)
  15. 相続放棄後も続く空き家の管理義務:リスクと対策を弁護士が解説 | 茨城の弁護士による相続・遺言相談(弁護士法人長瀬総合法律事務所)(茨城の弁護士による相続・遺言相談(弁護士法人長瀬総合法律事務所) | 相続・遺言でお悩みの方は早めに弁護士にご相談ください。相談無料。まずはご相談を。(弁護士法人長瀬総合法律事務所)牛久駅1分)
  16. 法務省:相続土地国庫帰属制度について(moj.go.jp)
  17. 法務省:相続土地国庫帰属制度において引き取ることができない土地の要件(moj.go.jp)
  18. 法務省:相続土地国庫帰属制度の負担金(moj.go.jp)
  19. 空き家は相続放棄できる?管理義務と費用・手続きを解説|相続大辞典|【相続税】専門の税理士90名以上|税理士法人チェスター(相続税のチェスター)
  20. 空き家を相続することになったら?放置するリスクや税金など知っておくべき情報まとめ | 相続会議(相続会議)
  21. 相続放棄すると空き家はどうなりますか?相続土地国庫帰属法とは | 【無料相談】高崎・前橋の2拠点、群馬で相続に強い弁護士なら山本総合法律事務所(【無料相談】高崎・前橋の2拠点、群馬で相続に強い弁護士なら山本総合法律事務所)
  22. 民法 (e-Gov 法令検索 / 明治29年法律第89号)(laws.e-gov.go.jp)