相続税対策に不動産と生前贈与を活用する前に整理しておきたい基礎知識

本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の状況により最適な判断は異なります。必要に応じて公的情報や専門家へご確認ください。

この記事で分かること
  • 「不動産を持っていると相続税が安くなる」は本当か
  • まず知っておきたい:相続税の基本的な仕組み
  • 不動産の相続税評価額:時価との違い

「不動産を持っていると相続税が安くなる」は本当か?

「不動産を持っていると相続税が安くなる」は本当か?

親が高齢になり、将来の相続について考え始めたとき、「不動産を持っていると相続税が有利になるらしい」「生前贈与で不動産を渡しておくといい」という話を耳にしたことがある方は多いのではないでしょうか。

確かに、不動産の相続税評価額は現金や有価証券と異なる算定方法が用いられるため、一定の条件下では相続税の負担が軽くなる場合があります。ただし、「不動産を持てば多くの場合節税になる」という単純な話ではなく、物件の種類・立地・活用方法・家族構成などによって効果は大きく変わります。

この記事では、相続税対策として不動産や生前贈与を検討する際に知っておきたい基礎的な仕組みと考え方を整理します。具体的な税額計算や個別の節税アドバイスは税理士・専門家への確認が必要ですが、まず「どういう制度があり、何を考えればよいか」という入口を把握することが大切です。

なお、本記事で紹介する税制・制度は記事執筆時点の情報に基づいており、法改正等により変更される場合があります。個別の物件や状況により判断は異なりますので、具体的な対策を検討する際は多くの場合税理士や専門家にご確認ください。

まず知っておきたい:相続税の基本的な仕組み

相続税対策を考えるにあたって、まず相続税そのものの基本的な構造を把握しておく必要があります。相続税は、亡くなった方(被相続人)から受け継いだ財産の総額が一定の金額を超えた場合に課税される税金です。

基礎控除額とは

相続税には「基礎控除」という仕組みがあり、課税対象となる財産の総額がこの控除額以下であれば、相続税はかかりません[1]

基礎控除額の計算式は以下の通りです。

計算式 例(法定相続人が3人の場合)
3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数 3,000万円 + 600万円 × 3人 = 4,800万円

法定相続人が多いほど基礎控除額は大きくなります。相続財産の総額がこの金額を超えた部分に対して、相続税が課税される仕組みです[1]

相続財産として計上されるもの

相続財産には、現金・預貯金・有価証券・不動産・貴金属・生命保険金(一定額超)など、被相続人が保有していたほぼすべての資産が含まれます。このうち不動産については、実際の市場価格(時価)ではなく、税法上の評価方法に基づいた「評価額」で計算されます。この点が、不動産が相続税対策として注目される理由の一つです。

相続税の申告期限は、相続開始を知った日の翌日から10か月以内とされています[1]。この期限内に財産の評価・分割協議・申告・納税を完了させる必要があるため、事前の準備が重要です。

不動産の相続税評価額:時価との違いを理解する

不動産の相続税評価額:時価との違いを理解する

不動産の相続税評価額は、一般的に市場で取引される時価よりも低くなる場合があります[1]。この差が、不動産を保有することで相続税の課税対象となる財産総額を圧縮できる可能性につながります。

土地の評価方法:路線価方式と倍率方式

土地の評価には主に2つの方法が用いられます。

  • 路線価方式:国税庁が毎年公表する「路線価」(道路に面した土地1㎡あたりの評価額)をもとに算定。主に市街地の土地に適用されます[1]
  • 倍率方式:固定資産税評価額に一定の倍率をかけて算定。路線価が設定されていない地域に適用されます[1]

路線価は公示地価(実勢価格の目安となる公的な価格)の概ね80%程度を目安に設定されているとされており、この差が「時価より評価額が低くなる」要因の一つです[1]

建物の評価方法:固定資産税評価額

建物については、固定資産税評価額がそのまま相続税評価額として使用されます。固定資産税評価額は一般的に建築費(再建築費)の50〜70%程度とされており、実際の市場価値との乖離が生じることがあります[1]

賃貸用不動産の場合はさらに評価が下がる可能性

アパートや賃貸マンションなど、第三者に貸し出している不動産(賃貸用不動産)については、借地権・借家権の存在を考慮してさらに評価額が低くなる仕組みがあります。これを「貸家建付地」「貸家」の評価減といいます。ただし、空室が多い場合や、実態のない賃貸として税務署に認定されるリスクもあるため、実務上は慎重な判断が必要です。

小規模宅地等の特例:最大80%の評価減

不動産を活用した相続税対策の中で特に影響が大きいのが「小規模宅地等の特例」です。一定の要件を満たす宅地については、相続税評価額を大幅に減額できる制度です[1]

特例の概要

宅地の種類 限度面積 減額割合
特定居住用宅地等(被相続人の自宅など) 330㎡まで 80%減額
特定事業用宅地等(被相続人の事業用地など) 400㎡まで 80%減額
貸付事業用宅地等(賃貸用の土地など) 200㎡まで 50%減額

たとえば、被相続人が居住していた自宅の土地(330㎡以下)を配偶者や同居の子が相続する場合、その土地の評価額を最大80%減額できます[1]。評価額5,000万円の土地であれば、1,000万円として計算できることになります。

適用には厳格な要件がある

この特例は非常に効果が大きい反面、適用要件が細かく定められています。たとえば「特定居住用宅地等」として80%減額を受けるには、相続した人が配偶者であるか、同居の親族であるか、あるいは一定の要件を満たす別居親族であるかなど、誰が相続するかによって適用の可否が変わります。要件の確認は多くの場合専門家に依頼してください。

生前贈与の基本:暦年贈与と相続時精算課税制度

生前贈与の基本:暦年贈与と相続時精算課税制度

相続税の負担を軽減する方法として、生前贈与も広く知られています。ただし、贈与には贈与税がかかる場合があり、また近年の税制改正により生前贈与の取り扱いが変わっている点にも注意が必要です。

暦年贈与:年間110万円の非課税枠

贈与税には「基礎控除」があり、1年間(1月1日〜12月31日)に受け取った贈与の合計額が110万円以下であれば、贈与税はかかりません[1]。これを活用して毎年少しずつ財産を移転していく方法が「暦年贈与」です。

ただし、2024年1月1日以降の贈与から、相続開始前の一定期間内の贈与は相続財産に加算される「生前贈与加算」の対象期間が段階的に延長されています[1]。従来は相続開始前3年以内の贈与が加算対象でしたが、法改正により最終的には7年以内に延長されます[1]。長期的な計画が必要です。

相続時精算課税制度:累計2,500万円まで非課税

60歳以上の父母・祖父母から18歳以上の子・孫への贈与に適用できる制度です[1]。累計2,500万円までの贈与について贈与税が非課税となり、それを超えた部分には一律20%の贈与税がかかります[1]。ただし、この制度を利用した贈与財産は、相続発生時に相続財産として加算して精算されます[1]

2024年1月1日以降、相続時精算課税制度にも年間110万円の基礎控除が新設されました[1]。この基礎控除内の贈与は相続財産への加算対象外となるため、制度の使い勝手が改善されています。

比較項目 暦年贈与 相続時精算課税制度
非課税枠 年間110万円(基礎控除) 累計2,500万円+年間110万円(2024年〜)
相続財産への加算 相続開始前7年以内(段階的移行中) 原則として全額加算(年間110万円超過分)
適用対象者 制限なし 60歳以上の父母・祖父母 → 18歳以上の子・孫
一度選択したら 毎年選択可能 撤回不可(同一贈与者・受贈者間)
不動産贈与との相性 毎年少しずつの贈与に向く 高額な不動産の一括移転に向く場合も

不動産を生前贈与する際にかかる費用

不動産の生前贈与は、相続税の節税効果が期待できる一方で、贈与時点でさまざまな費用が発生します。相続で取得する場合と比較して、費用負担が大きくなるケースもあるため、事前に把握しておくことが重要です。

主な費用項目

  • 登録免許税:不動産の名義変更(所有権移転登記)に必要。贈与の場合は固定資産税評価額の2.0%。なお、相続による取得の場合は0.4%であるため、贈与の方が登録免許税は高くなります。
  • 不動産取得税:不動産を取得した際に都道府県に納める税金。固定資産税評価額の3%(土地・住宅の場合、軽減措置適用後)が目安です。相続による取得には不動産取得税はかかりませんが、贈与による取得には課税されます。
  • 司法書士報酬:登記手続きを依頼する場合に発生。物件の数や内容によりますが、数万円〜十数万円程度が目安です。
  • 贈与税:暦年贈与の非課税枠(年間110万円)を超える贈与には累進税率で贈与税がかかります。不動産の評価額によっては高額になる場合があります。

費用の目安(固定資産税評価額2,000万円の不動産の場合)

費用項目 贈与の場合(目安) 相続の場合(目安)
登録免許税 約40万円(評価額×2.0%) 約8万円(評価額×0.4%)
不動産取得税 約60万円(評価額×3%)※軽減前 なし
司法書士報酬 数万円〜十数万円程度 数万円〜十数万円程度

上記はあくまで目安であり、物件の種類・所在地・軽減措置の適用有無によって実際の金額は異なります。特に不動産取得税については各種軽減措置があるため、実際の負担額は上記より低くなる場合があります。

不動産売却時の税金:譲渡所得税の基本

不動産売却時の税金:譲渡所得税の基本

生前贈与や相続で取得した不動産を将来売却する場合、売却益(譲渡所得)が生じれば譲渡所得税がかかります。この税負担も事前に把握しておく必要があります。

譲渡所得の計算式

譲渡所得は以下の計算式で求めます。

譲渡所得 = 売却価格 −(取得費 + 譲渡費用)

  • 取得費:不動産を購入した際の費用(購入価格+購入時の諸費用)。建物部分は減価償却後の金額を使用します。取得費が不明な場合は売却価格の5%を概算取得費として使用できますが、取得費が低くなるほど課税額が増えます。
  • 譲渡費用:売却にかかった費用(仲介手数料・印紙税・解体費用など)。

税率:所有期間によって異なる

区分 所有期間の判定 税率(復興特別所得税含む)
短期譲渡所得 売却した年の1月1日時点で5年以下 39.63%(所得税30.63%+住民税9%)
長期譲渡所得 売却した年の1月1日時点で5年超 20.315%(所得税15.315%+住民税5%)

所有期間は「実際の取得日からの年数」ではなく、「売却した年の1月1日時点」で判定します。この点は誤解が多いので注意が必要です。

生前贈与・相続で取得した不動産の取得費

贈与や相続で取得した不動産を売却する場合、取得費は「贈与・相続を受けた時点の評価額」ではなく、原則として「元の所有者(贈与者・被相続人)が取得した際の価格」を引き継ぎます。長年保有していた不動産ほど取得費が低くなり、売却時の課税額が大きくなる可能性があります。

3,000万円特別控除(居住用財産の特例)

マイホーム(居住用財産)を売却した場合、一定の条件を満たせば譲渡所得から最大3,000万円を控除できる制度があります。主な適用条件は以下の通りです。

  • 売却する不動産が居住用財産(マイホーム)であること
  • 売却先が配偶者・親族など特殊な関係者でないこと
  • 前年・前々年にこの特例を受けていないこと

ただし、生前贈与で受け取った不動産が居住用でない場合(賃貸用・空き家など)は、この特例は適用されません。具体的な適用条件は税務署または税理士に確認してください。

具体的なシナリオで考える:どういう状況で何を検討するか

シナリオ①:都市部の自宅不動産を子に引き継がせたいケース

東京都内に評価額8,000万円の一戸建て(土地・建物)を保有している70代の親が、将来の相続に備えて子(40代・同居)への財産移転を検討しているケースを考えてみます。

この場合、相続発生時に小規模宅地等の特例が適用できれば、土地の評価額を最大80%減額できる可能性があります[1]。たとえば土地の評価額が6,000万円であれば、特例適用後は1,200万円として計算できます。建物の評価額が1,000万円であれば、合計2,200万円程度の評価額となり、基礎控除(法定相続人が子1人であれば3,600万円)の範囲内に収まる可能性が出てきます。

一方、生前贈与で不動産を子に移転した場合、登録免許税・不動産取得税・贈与税が発生し、コスト面では相続よりも高くなる可能性があります。また、贈与後に小規模宅地等の特例は適用されません。このケースでは、生前贈与よりも相続で引き継ぐ方が税負担が軽くなる可能性があるため、単純に「生前贈与すれば節税になる」とは言い切れません。

どちらが有利かは個別の数字を精査しなければ判断できないため、税理士への相談が不可欠です。

シナリオ②:地方の賃貸アパートを相続財産として持つケース

地方都市に築20年の賃貸アパート(土地・建物の評価額合計5,000万円)を保有している60代の親が、相続税対策を検討しているケースです。法定相続人は子2人で、他に預貯金が3,000万円あるとします。

相続財産の合計は8,000万円で、基礎控除(3,000万円600万円×2人4,200万円)を超えるため、相続税が発生します。アパートの土地部分については「貸付事業用宅地等」として小規模宅地等の特例(200㎡まで50%減額)が適用できる可能性があります[1]

一方、このアパートを将来子が売却することを検討している場合、取得費は親が取得した当時の価格を引き継ぐため、売却時の譲渡所得が大きくなる可能性があります。「相続で受け取って後から売る」のか「生前に売却して現金で相続させる」のか、あるいは「賃貸経営を継続する」のかによって、トータルの税負担は大きく変わります。

このように、不動産の種類・活用状況・将来の売却見通しによって、最適な対策は異なります。

前提・注意
  • 売却価格は物件の立地・状態・市況で大きく変わります。
  • 税制や法律は変更される可能性があります。
  • 具体的な判断は不動産会社や専門家への確認が前提です。

よくある勘違いと注意点

よくある勘違いと注意点

勘違い①:「不動産を持てば多くの場合相続税が安くなる」

不動産の評価額が時価より低くなる傾向があることは事実ですが、「多くの場合節税になる」わけではありません。小規模宅地等の特例が適用できない場合や、賃貸用不動産の空室率が高い場合、あるいは不動産取得に伴うコスト(購入費・維持費・将来の売却時の譲渡所得税)を含めてトータルで考えると、多くの場合しも有利にならないケースもあります。

また、相続税対策として不動産を購入する行為が「行き過ぎた節税」として税務署に否認されるリスクも近年指摘されています。形式的な節税スキームには慎重な判断が必要です。

勘違い②:「生前贈与は早いほど得」とは限らない

暦年贈与を活用した生前贈与は、長期間にわたって計画的に行うことで効果が期待できますが、2024年以降の税制改正により生前贈与加算の対象期間が最終的に7年間に延長されます[1]。亡くなる直前の贈与は相続財産に加算されるため、短期間で大量に贈与しても効果が薄れる場合があります。

また、相続時精算課税制度は一度選択すると同一の贈与者・受贈者の組み合わせでは撤回できません[1]。制度の選択は慎重に行う必要があります。

勘違い③:「不動産の生前贈与は費用がかからない」

不動産の生前贈与には、登録免許税・不動産取得税・司法書士報酬・贈与税など、相続で取得する場合よりも高い費用が発生することがあります。特に登録免許税は贈与の場合が2.0%、相続の場合が0.4%と大きく異なります。「贈与の方が得か、相続まで待つ方が得か」は、これらの費用を含めて総合的に試算する必要があります。

不動産売却にかかる費用の基本:売却を検討する際の参考に

売却を検討しやすいチェック
  • 主な費用項目
  • 仲介手数料:売買価格×3%+6万円+消費税(売買価格400万円超の場合の法定上限)。これはあくまで上限額であり、交渉により異なる場合もあります。
  • 印紙税:売買契約書に貼付。契約金額により1,000円〜60,000円程度。
  • 登記費用:抵当権抹消登記等(司法書士報酬含め1〜3万円程度)。
  • 住宅ローン一括返済手数料:ローン残債がある場合、金融機関により0〜33,000円程度。

当てはまるほど、売却を具体的に検討するタイミングかもしれません。

相続や生前贈与で取得した不動産を将来売却する可能性がある場合、売却時にかかる費用についても基本的な知識を持っておくと役立ちます。

主な費用項目

  • 仲介手数料:売買価格×3%6万円+消費税(売買価格400万円超の場合の法定上限)。これはあくまで上限額であり、交渉により異なる場合もあります。
  • 印紙税:売買契約書に貼付。契約金額により1,000円〜60,000円程度。
  • 登記費用:抵当権抹消登記等(司法書士報酬含め1〜3万円程度)。
  • 住宅ローン一括返済手数料:ローン残債がある場合、金融機関により0〜33,000円程度。
  • ハウスクリーニング等:任意だが、内覧対応のために実施する場合あり。

売却価格帯別の費用概算

売却価格 仲介手数料上限(税込) 印紙税(目安) 費用合計概算
1,000万円 約39.6万円 5,000円 約40〜45万円
2,000万円 約72.6万円 1万円 約74〜80万円
3,000万円 約105.6万円 1万円 約107〜115万円
5,000万円 約171.6万円 3万円 約175〜185万円

上記はあくまで目安です。実際の費用はローン残債の有無・物件の状態・売却方法(仲介か買取か)によって変わります。

仲介と買取の基本的な違い

比較項目 仲介 買取
売却価格 市場価格に近い水準を期待できる 市場価格の70〜80%程度が目安
売却期間 3〜6ヶ月程度(物件・条件による) 最短1〜4週間程度
仲介手数料 発生する(法定上限あり) 原則不要
契約不適合責任 原則として売主が負う 免責になることが多い
向いているケース 時間に余裕があり、価格を重視する場合 早期売却を優先する場合、物件に問題がある場合

相続した不動産を売却する場合、「できるだけ高く売りたい」のか「手続きの手間を省きたい」のかによって、仲介と買取のどちらが適しているかが変わります。どちらが良いかは状況次第です。

不動産売却の基本的な流れ

不動産売却の基本的な流れ
1
相場調査:近隣の取引事例や不動産情報サイトで、物件の大まかな市場価格を把握する。
2
査定:複数の不動産会社に査定を依頼し、価格の根拠を比較する。机上査定(数時間〜翌日程度)と訪問査定(1〜2週間程度)がある。
3
媒介契約の締結:専属専任媒介・専任媒介・一般媒介の3種類から選択。いずれも契約期間は最長3ヶ月。
4
販売活動・内覧対応:不動産会社が買主候補を探し、内覧に対応する。
5
売買契約の締結:買主と条件を合意し、契約書を締結。手付金の受け取りが行われる。
6
決済・引渡し:残代金を受け取り、所有権移転登記と物件の引渡しを行う。

相続・贈与で取得した不動産の売却を具体的に進める際には、一般的に以下のステップで進みます。

仲介での売却期間は、売り出しから成約まで3〜6ヶ月程度が一般的ですが、物件の立地・築年数・価格設定・市場動向により大きく変動します。相続した不動産の場合、相続登記(名義変更)が完了していないと売却手続きを進められないため、事前の準備が必要です。

査定の考え方:価格の高さだけで判断しない

複数社に査定を依頼した場合、会社によって査定価格に差が出ることがあります。査定価格はあくまで「この価格で売れるだろう」という予測であり、保証ではありません。極端に高い査定価格は、契約を取るための「高預かり」である可能性もあるため、価格の根拠(類似物件の取引事例など)を確認することが重要です。

媒介契約の種類についても、それぞれ特徴があります。

契約の種類 依頼できる会社数 レインズ登録義務 報告義務 自己発見取引
専属専任媒介 1社のみ 5営業日以内 1週間に1回以上 不可
専任媒介 1社のみ 7営業日以内 2週間に1回以上
一般媒介 複数社に依頼可 任意 義務なし

専任媒介は手厚いサポートが期待でき、一般媒介は複数社の競争が見込めます。物件の特性や売主の状況により適した契約は異なります。

まとめ:不動産と生前贈与を活用した相続税対策の入口

相続税対策における不動産と生前贈与の活用について、基本的な仕組みを整理してきました。要点を以下にまとめます。

  • 相続税には基礎控除(3,000万円600万円×法定相続人数)があり、財産総額がこれを超えた場合に課税される[1]
  • 不動産の相続税評価額は路線価・固定資産税評価額をもとに算定され、時価より低くなる場合がある[1]
  • 小規模宅地等の特例により、要件を満たす宅地は最大80%の評価減が可能(居住用宅地は330㎡まで)[1]
  • 暦年贈与の非課税枠は年間110万円だが、生前贈与加算の対象期間が最終的に7年間に延長される[1][1]
  • 相続時精算課税制度は累計2,500万円まで非課税だが、相続発生時に精算される[1]
  • 不動産の生前贈与には登録免許税・不動産取得税など、相続よりも高い費用が発生することがある。
  • 売却時には譲渡所得税(所有期間5年超で20.315%5年以下で39.63%)が発生する可能性がある。

物件や状況によって考え方は変わります。「不動産を持てば節税になる」「生前贈与は早い方が得」という単純な結論はなく、家族構成・財産の内訳・将来の売却見通し・相続人の状況などを総合的に考慮する必要があります。一般論だけでは決めきれない部分もあります。

より具体的な比較検討の方法や、個別の物件・状況に当てはめた考え方については、別の記事で詳しく解説しています。