不動産の生前贈与と相続、どちらが得か判断する前に知っておきたい基礎知識

本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の状況により最適な判断は異なります。必要に応じて公的情報や専門家へご確認ください。

この記事で分かること
  • 「生前贈与と相続、どちらが得ですか」という問いに即答できない理由
  • まず整理する:生前贈与と相続、それぞれの仕組み
  • 生前贈与と相続で「かかるコスト」はどう違うか

「生前贈与と相続、どちらが得ですか?」という問いに即答できない理由

「生前贈与と相続、どちらが得ですか?」という問いに即答できない理由

親が所有する不動産をいつか引き継ぐことになる。そのとき、「生きているうちに贈与してもらうほうが税金は安いのか、それとも相続まで待つほうが得なのか」という疑問は、多くの方が一度は考えることです。

ところが、この問いに対して「どちらが得」とひと言で答えることは、専門家にも難しいのが実情です。その理由は、不動産の評価額・立地・用途・家族構成・相続税の課税対象になるかどうか、さらには2024年以降の税制改正の内容まで、判断に影響する要素が非常に多岐にわたるためです。

この記事では、不動産の生前贈与と相続それぞれの仕組みと費用構造を整理し、「どういう状況ではどちらが有利になりやすいか」という判断の入口を提供します。具体的な税額の計算や節税アドバイスは税理士・税務署への確認が必要ですが、まず全体像を理解しておくことで、専門家への相談もスムーズになります。

個別の物件や家族の状況により判断は大きく異なります。この記事の内容はあくまで一般的な解説であり、具体的な判断は専門家にご確認ください。

まず整理する:生前贈与と相続、それぞれの仕組み

生前贈与と相続は、どちらも「財産を次の世代に引き継ぐ方法」ですが、タイミングと手続き、かかる税金の種類がまったく異なります。それぞれの基本を確認しておきましょう。

生前贈与とは

生前贈与とは、財産を持つ人(贈与者)が生きている間に、意思をもって他者(受贈者)に財産を渡す行為です。不動産の場合、所有権移転登記を行うことで贈与が完了します。

受け取った側(受贈者)には原則として贈与税が課税されます。贈与税には主に2つの課税方式があります。

  • 暦年課税:1月1日から12月31日までの1年間に受け取った贈与財産の合計額が基礎控除額(年間110万円)を超えた場合に、超えた部分に対して課税される方式[1]
  • 相続時精算課税制度60歳以上の父母または祖父母から18歳以上の子・孫への贈与に適用できる制度。累計2,500万円までの贈与が非課税(2,500万円を超えた部分は一律20%課税)となる。2024年1月の改正により、年間110万円の基礎控除が追加された[1]

不動産を贈与した場合、受贈者は翌年の2月1日から3月15日の間に贈与税の確定申告を行う必要があります[1]

相続とは

相続とは、財産を持つ人が亡くなったことを契機に、法定相続人(配偶者・子・親など)が財産を引き継ぐことです。不動産の場合も、遺産分割協議を経て相続登記を行います。

相続には相続税が課税されますが、基礎控除(3,000万円600万円×法定相続人の数)があるため、遺産総額がこの基礎控除額以下であれば相続税はかかりません[1]

たとえば法定相続人が2人の場合、基礎控除は3,000万円600万円×2人4,200万円となります。遺産の総額がこれを超えない限り、相続税の申告も納税も不要です。

生前贈与と相続で「かかるコスト」はどう違うか

生前贈与と相続で「かかるコスト」はどう違うか

どちらが得かを考えるうえで、税金だけでなく登記費用なども含めたトータルコストを把握することが重要です。生前贈与と相続では、同じ不動産でも発生するコストの種類と金額が異なります。

登録免許税の違い

不動産の所有権移転登記には登録免許税がかかります。贈与と相続では税率が大きく異なります。

項目 生前贈与 相続
登録免許税の税率 固定資産税評価額の2% 固定資産税評価額の0.4%
不動産取得税 固定資産税評価額の3〜4%(課税あり) 原則非課税
贈与税・相続税 贈与税(受贈者に課税) 相続税(遺産総額が基礎控除超の場合)
司法書士報酬(目安) 5〜15万円程度 5〜15万円程度

登録免許税だけを比較すると、相続(0.4%)のほうが贈与(2%)より大幅に低い水準です。たとえば固定資産税評価額が2,000万円の不動産であれば、登録免許税は贈与で40万円、相続で8万円となり、その差は32万円にのぼります。

さらに不動産取得税は贈与では課税される一方、相続では原則として非課税です。この点だけを見ると、相続のほうが登記にかかるコストは低くなる傾向があります。

不動産の評価額の計算方法

相続税や贈与税の課税対象となる不動産の評価額は、実際の取引価格(市場価格)ではなく、税務上の評価額によって計算されます[1]

  • 路線価方式:市街地にある土地に適用。国税庁が毎年公表する路線価(1㎡あたりの評価額)に面積を掛けて算出する方法。路線価は一般的に市場価格の7〜8割程度とされています
  • 倍率方式:路線価が設定されていない地域の土地に適用。固定資産税評価額に国税庁が定める倍率を掛けて算出する方法

建物については、固定資産税評価額がそのまま相続税・贈与税の評価額として使われます。固定資産税評価額は一般的に市場価格より低く設定されているため、不動産は現金と比べると相続税・贈与税の計算上で有利になりやすいという特徴があります。

相続税の特例:小規模宅地等の特例

相続には、一定の要件を満たす宅地について評価額を大幅に下げられる制度があります。小規模宅地等の特例と呼ばれるもので、被相続人が居住用に使っていた宅地(特定居住用宅地)については、330㎡を上限として評価額を最大80%減額できます[1]

たとえば路線価方式で評価額が4,000万円の自宅の土地があった場合、この特例を適用すると評価額が800万円まで下がり、相続税の課税対象額が大幅に圧縮されます。ただし適用には同居要件や申告要件など、いくつかの条件があります。

この特例は相続の場合のみ適用されるものであり、生前贈与では使えません。これが「相続のほうが有利になりやすい」と言われる大きな理由の一つです。

2024年の税制改正で変わったこと

生前贈与と相続の比較を考える際、2024年以降の税制改正の内容を把握しておくことが重要です。従来のルールとは異なる部分があるため、古い情報をもとに判断しないよう注意が必要です。

生前贈与加算のルールが変わった

贈与者が亡くなった場合、相続開始前の一定期間内に行われた贈与は、相続財産に加算されて相続税の計算対象となります(生前贈与加算)[1]

この加算対象期間が、2024年1月1日以降の贈与から段階的に延長されています。

贈与の時期 加算対象期間
2023年12月31日以前の贈与 相続開始前3年以内
2024年1月1日以降の贈与 最終的に相続開始前7年以内(段階的に延長)

この改正により、「亡くなる直前に贈与すれば相続財産を減らせる」という従来の節税手法の効果が縮小されました。早期の計画的な贈与がより重要になっています。

ただし、加算対象期間が延長された4年分(相続開始前3〜7年の贈与)については、合計100万円まで相続財産への加算が免除される措置も設けられています。

相続時精算課税制度に基礎控除が追加された

2024年1月から、相続時精算課税制度を選択した場合にも年間110万円の基礎控除が適用されるようになりました[1]。改正前は年間の基礎控除がなく、累計2,500万円を超えた部分にのみ課税されていましたが、改正後は毎年110万円までの贈与が相続財産への加算からも除外されます。

この改正により、相続時精算課税制度を使って不動産を早期に贈与し、かつ毎年の基礎控除枠を活用するという戦略の選択肢が広がりました。ただし、相続時精算課税制度は一度選択すると暦年課税に戻れないという点も理解しておく必要があります。

具体的なシナリオで考える:どちらが有利になりやすいか

具体的なシナリオで考える:どちらが有利になりやすいか

一般論だけでは判断が難しいため、いくつかの具体的なシナリオを通じて考え方を整理します。状況が異なれば判断も変わるという点を念頭に置いてご覧ください。

シナリオ①:相続税の課税対象にならないケース

遺産の総額が相続税の基礎控除(3,000万円600万円×法定相続人の数)を下回る場合、相続税はかかりません。

たとえば、法定相続人が子ども2人で、遺産が自宅(評価額2,000万円)と預貯金1,000万円の合計3,000万円というケースを考えます。基礎控除は3,000万円600万円×2人4,200万円なので、相続税は発生しません。

このような状況で自宅を生前贈与した場合、登録免許税(2%)・不動産取得税(3〜4%)・贈与税の申告費用などが余分に発生します。相続であれば登録免許税は0.4%、不動産取得税は非課税です。

この条件では、生前贈与を急ぐ経済的メリットは乏しく、相続まで待つほうがトータルコストは低くなりやすい傾向があります。ただし、相続手続きに関わる費用や時間的コストも考慮に入れる必要があります。

シナリオ②:相続税が課税される規模の資産があるケース

遺産総額が基礎控除を大きく上回り、相続税が発生する見込みがある場合は、判断がより複雑になります。

たとえば、賃貸用マンション(評価額8,000万円)と金融資産2,000万円を保有し、法定相続人が子ども1人というケースでは、基礎控除は3,600万円3,000万円600万円×1人)。遺産総額10,000万円から基礎控除を引いた6,400万円が課税対象となり、相応の相続税が発生します。

このような場合、生前贈与によって相続財産を事前に圧縮する効果が生まれる可能性があります。ただし、前述のとおり生前贈与加算のルール(2024年改正後は最長7年)があるため、贈与から7年以上経過しないと加算対象から外れません。また、賃貸用不動産には小規模宅地等の特例(貸付事業用宅地)が適用できる場合もあり、相続のほうが有利になるケースもあります。

資産規模が大きいほど、生前贈与と相続のどちらが得かは個別の計算が必要になります。税理士への相談が不可欠です。

シナリオ③:不動産を売却して現金化することも視野に入れるケース

相続や贈与で不動産を引き継いだ後、売却を検討する場合には、譲渡所得税の計算における「取得費」の扱いにも注意が必要です。

譲渡所得は以下の式で計算されます。

譲渡所得 = 売却価格 −(取得費 + 譲渡費用)

相続で取得した不動産の取得費は、被相続人が実際に購入した価格(+購入時の諸費用)が引き継がれます。一方、贈与で取得した不動産の取得費も、贈与者の取得費がそのまま引き継がれる扱いです。

取得費が低い(または不明な)場合、売却価格の5%を取得費とみなす概算取得費を使うことになりますが、この場合は譲渡所得が大きくなり、税負担が増える可能性があります。

不動産の売却益(譲渡所得)に対する税率は、売却した年の1月1日時点での所有期間によって異なります。

所有期間 区分 税率(復興特別所得税含む)
5年以下 短期譲渡所得 39.63%(所得税30.63%+住民税9%)
5年超 長期譲渡所得 20.315%(所得税15.315%+住民税5%)

所有期間は「売却した年の1月1日時点」で判定されます。たとえば相続や贈与で取得した直後に売却する場合、被相続人・贈与者の所有期間が引き継がれる相続とは異なり、贈与では受贈者が取得した日から所有期間がカウントされます(※相続による取得の場合は被相続人の取得日が引き継がれます)。

居住用財産(マイホーム)であれば、3,000万円特別控除の適用により、一定の要件を満たす場合に譲渡所得から最大3,000万円を控除できます。ただし、売却先が親族等の特殊関係者でないこと、前年・前々年にこの特例を使っていないこと、居住用財産であることなどの要件があります。具体的な適用条件は税務署または税理士にご確認ください。

不動産の生前贈与・相続にまつわるよくある誤解

判断を誤らないために、よく見られる誤解を3つ整理します。

誤解①「生前贈与すれば多くの場合節税になる」

生前贈与が節税になるかどうかは、相続財産の総額・相続税の発生有無・贈与税の計算・登記費用などを総合的に比較しなければわかりません。相続税の課税対象にならない規模の資産であれば、生前贈与によって余分なコストが発生するだけになる可能性があります。

また、2024年の税制改正で生前贈与加算の期間が最長7年に延長されたため、短期間での贈与効果は以前より限定的になっています。

誤解②「相続時精算課税制度を使えば不動産はタダで贈与できる」

相続時精算課税制度では、累計2,500万円まで贈与税が非課税になりますが、これはあくまで「贈与時の課税を先送りにする制度」です。贈与した財産は将来の相続税の計算に含まれるため、相続税が発生する規模の資産であれば、最終的な税負担は変わらない場合があります。

また、この制度を選択すると暦年課税には戻れません。不動産の登録免許税(2%)や不動産取得税も通常どおり発生するため、手続きコストは相続より高くなります。

誤解③「不動産は市場価格で相続税・贈与税が計算される」

相続税・贈与税の計算に使われる不動産の評価額は、路線価方式または倍率方式で算出された税務上の評価額であり、実際の市場価格(取引価格)とは異なります。一般的に路線価は市場価格の7〜8割程度とされており、不動産は現金と比べると相続・贈与において評価額が圧縮されやすい資産です。ただし、評価額と市場価格の乖離幅は立地や物件の種類によって大きく異なります。

判断の分岐点:どちらを選ぶかに影響する主な要素

判断の分岐点:どちらを選ぶかに影響する主な要素

生前贈与と相続のどちらが有利かを判断するうえで、特に影響が大きい要素を整理します。これらを把握することで、専門家への相談もより具体的に進められます。

相続税の課税対象になるかどうか

まず確認すべきは、現状の資産規模で相続税が発生するかどうかです。法定相続人の人数を確認し、基礎控除(3,000万円600万円×法定相続人の数)を計算します。遺産総額がこの範囲内に収まるなら、相続税の節税という観点での生前贈与の意義は薄くなります。

小規模宅地等の特例が使えるかどうか

被相続人が居住用に使っていた宅地については、相続時に小規模宅地等の特例(最大80%減額)が使える可能性があります。この特例は生前贈与では適用できません。特例が使える状況であれば、相続まで待つことで大幅な評価額の圧縮が期待できます。

贈与から相続発生までの期間

生前贈与加算のルール(2024年改正後は最長7年)があるため、贈与後7年以上経過しないと相続財産への加算を免れません。高齢の方への贈与計画では、この点を考慮した長期的なスケジュールが必要です。

不動産を引き継いだ後に売却するかどうか

相続または贈与で取得した後すぐに売却する予定がある場合は、譲渡所得税の計算(取得費・所有期間の引き継ぎ方)が重要になります。相続の場合は被相続人の取得費・取得日が引き継がれますが、贈与の場合は取得費は引き継がれても取得日は受贈者が取得した日から起算されます。長期保有扱いになるかどうかで税率が大きく変わるため、売却を前提とする場合は特に注意が必要です。

家族・親族間の合意形成

生前贈与は特定の相続人に有利な財産移転となる場合があり、他の相続人との関係に影響することがあります。民法上の「特別受益」として相続分の計算に影響する可能性もあるため、家族全体での合意形成も視野に入れて進めることが重要です。

生前贈与・相続にかかるコストのシミュレーション

評価額別に、登録免許税・不動産取得税の概算を比較した表を示します。実際の金額は物件の種類・所在地・その他の条件によって異なりますので、あくまで参考値としてご覧ください。

固定資産税評価額 贈与:登録免許税(2%) 相続:登録免許税(0.4%) 差額(登録免許税のみ) 贈与:不動産取得税(目安3%) 相続:不動産取得税
1,000万円 20万円 4万円 16万円 30万円(目安) 非課税
2,000万円 40万円 8万円 32万円 60万円(目安) 非課税
3,000万円 60万円 12万円 48万円 90万円(目安) 非課税
5,000万円 100万円 20万円 80万円 150万円(目安) 非課税

上記の表は登録免許税と不動産取得税のみの比較です。贈与税・相続税の差額は資産規模や家族構成によって大きく変わるため、表には含めていません。司法書士報酬(5〜15万円程度)も別途発生します。

このように、手続きコストだけを見ると相続のほうが低くなる傾向がありますが、相続税が多額に発生する場合はこの限りではありません。トータルで判断するためには、相続税の試算を含めた専門家への相談が欠かせません。

前提・注意
  • 売却価格は物件の立地・状態・市況で大きく変わります。
  • 税制や法律は変更される可能性があります。
  • 具体的な判断は不動産会社や専門家への確認が前提です。

相続後に不動産を売却する場合の基本的な流れ

相続後に不動産を売却する場合の基本的な流れ
1
相続登記(または贈与による所有権移転登記)を完了させる
2
不動産の相場を調べる(路線価・公示価格・取引事例などを参照)
3
複数の不動産会社に査定を依뢰して価格の目安を把握する
4
媒介契約の種類(一般・専任・専属専任)を選択して販売活動を開始する
5
内覧対応・条件交渉を経て売買契約を締結する
6
決済・引渡しを行い、翌年の確定申告で譲渡所得税の申告を行う

不動産を相続または贈与で取得した後、売却を検討する際の基本的な流れを確認しておきましょう。

仲介による売却では、売り出しから成約まで一般的に3〜6ヶ月程度かかります。ただし、物件の立地・築年数・価格設定・市場動向によって期間は大きく変動します。急いで現金化したい場合は、不動産会社に直接買い取ってもらう買取という方法もあります。

仲介と買取の基本的な違い

項目 仲介 買取
売却価格の目安 市場価格に近い水準を期待できる 市場価格の60〜80%程度が一般的
売却期間の目安 3〜6ヶ月程度 最短1〜2週間程度
仲介手数料 売買価格×3%+6万円+消費税(上限) 原則不要の場合が多い
契約不適合責任 原則として売主に責任が残る 免責になることが多い
向いているケース 時間に余裕がある、高く売りたい 急いでいる、築古・訳あり物件など

仲介手数料の上限は「売買価格×3%6万円+消費税」(400万円超の場合)です。これは上限であり、交渉によって変わる場合もあります。また、仲介手数料以外にも印紙税(売買契約書に貼付、契約金額により1,000円〜60,000円程度)、抵当権抹消登記費用(司法書士報酬含め1〜3万円程度)なども発生します。

どちらの方法が適しているかは、売却を急ぐ必要があるか、物件の状態や立地、残債の有無など個別の事情によって変わります。

査定と媒介契約について知っておきたいこと

相続・贈与した不動産を売却する際には、まず不動産会社に査定を依頼して価格の目安を把握することになります。査定には2つの種類があります。

  • 机上査定(簡易査定):物件情報と周辺の取引事例をもとに概算を算出する方法。数時間〜翌日程度で結果が出る。複数社の概算を手軽に比較したい場合に活用しやすい
  • 訪問査定:不動産会社の担当者が実際に物件を確認して算出する方法。精度が高く、売却を具体的に検討する段階で有効

査定価格はあくまで「この価格で売れるだろう」という不動産会社の見積もりであり、実際の売却価格を保証するものではありません。複数社に査定を依頼して価格の根拠を比較することが重要です。また、極端に高い査定価格には「高預かり」(契約獲得のために高めの価格を提示し、後から値下げを促す慣行)の可能性もあるため、価格の根拠をしっかり確認することが大切です。

売却を進める際には不動産会社と媒介契約を結びます。媒介契約には3種類あります。

種類 複数社への依頼 自己発見取引 レインズ登録義務 報告義務
一般媒介 可能 可能 任意 なし
専任媒介 不可(1社のみ) 可能 7営業日以内 2週間に1回以上
専属専任媒介 不可(1社のみ) 不可 5営業日以内 1週間に1回以上

いずれの契約も有効期間は最長3ヶ月(更新可)です。専任媒介・専属専任媒介は1社に集中して任せることで積極的な販売活動が期待でき、一般媒介は複数社に依頼できる分、各社の優先度が下がる可能性もあります。物件の特性や売主の状況に応じて選択することが重要です。

まとめ:生前贈与と相続、判断の整理

まとめ:生前贈与と相続、判断の整理

不動産の生前贈与と相続、どちらが得かという問いに対する答えは、一般論だけでは決めきれない部分も多くあります。この記事で整理した主なポイントを振り返ります。

  • 登録免許税・不動産取得税は相続のほうが低い(登録免許税:相続0.4%、贈与2%
  • 相続税の課税対象にならない規模の資産であれば、生前贈与の節税メリットは生まれにくい
  • 小規模宅地等の特例(最大80%減額)は相続のみ適用可能で、生前贈与では使えない
  • 2024年改正により生前贈与加算の期間が最長7年に延長され、短期間の贈与効果は縮小された
  • 相続時精算課税制度は贈与税の課税を先送りにする制度であり、相続税が発生する規模の資産では最終的な税負担が変わらない場合がある
  • 相続・贈与後に売却する場合は、譲渡所得税の計算(取得費・所有期間の扱い)にも注意が必要

どちらが有利かは、相続財産の総額・法定相続人の人数・不動産の評価額と立地・今後の利用計画・家族間の合意など、多くの要素が絡み合って決まります。物件や状況によって考え方は変わります。

具体的な税額の試算や個別の判断については、税理士や税務署への相談が不可欠です。また、不動産の売却を含めた計画を立てる際の詳しい考え方については、さらに詳しい記事をご覧ください。

※本記事の内容は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の物件や状況により判断は異なります。具体的な税務・法律上の判断については、税理士・司法書士・税務署等の専門家にご確認ください。