家の売却相場は築年数でどう変わる?価格の考え方と売却前に整理しておきたい基礎知識

本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の状況により最適な判断は異なります。必要に応じて公的情報や専門家へご確認ください。

この記事で分かること
  • 築年数が上がるほど、売却相場はどう変わるのか
  • 築年数と売却相場の関係:基本的な考え方
  • 築年数が売却相場に影響する具体的な理由

築年数が上がるほど、売却相場はどう変わるのか

築年数が上がるほど、売却相場はどう変わるのか

自宅の売却を考えたとき、多くの人が最初に気になるのは「今の家はいくらで売れるのか」という点です。特に築年数が経過した物件を持つ方にとっては、「古い家でも売れるのか」「築年数によってどれくらい価格が下がるのか」という疑問が先に立つことも多いでしょう。

結論から言えば、築年数は売却相場に影響する重要な要素のひとつですが、それだけで価格が決まるわけではありません。立地・構造・管理状態・市場環境など、複合的な条件が絡み合って最終的な相場が形成されます。この記事では、築年数と売却相場の関係を整理しながら、売却前に知っておくべき基礎的な考え方をまとめています。

なお、個別の物件や状況により判断は異なります。以下の情報はあくまで一般的な傾向・目安として参照してください。

築年数と売却相場の関係:基本的な考え方

築年数が売却価格に与える影響は、「建物の価値」「土地の価値」を分けて考えると整理しやすくなります。

建物価値は年数とともに下がる傾向がある

税務上、木造住宅の法定耐用年数は22年と定められています[1]。これは建物の減価償却を計算するための基準であり、「22年で建物の価値がゼロになる」という意味ではありませんが、市場においても築年数の経過とともに建物評価が下がる傾向があることは事実です。

国土交通省や不動産流通機構(REINS)のデータによると、中古住宅の価格は築年数の経過に応じて段階的に下落する傾向が見られます。ただし、下落の幅は物件の種別(マンション・一戸建て)や立地によって大きく異なります。

土地の価値は築年数の影響を受けにくい

一方で、土地の価値は建物の築年数とは独立して評価されます。都市部の利便性の高いエリアでは、築年数が相当経過していても土地値が高いため、売却価格が一定水準を維持するケースも少なくありません。逆に、地方の過疎化が進むエリアでは、土地の需要自体が低下しているため、築年数以上に価格が下がることもあります。

築年数帯別の相場傾向(目安)

以下は、中古住宅市場における築年数帯別の価格傾向の目安です。実際の価格は立地・面積・状態によって大きく異なります[1]

築年数帯 価格傾向の目安 主な特徴
築5年以内 新築価格の85〜95%程度 設備・内装の新しさが評価されやすい
築6〜10年 新築価格の70〜85%程度 住宅設備の初回交換時期と重なることも
築11〜20年 新築価格の50〜70%程度 リフォーム済みか否かで差が出やすい
築21〜30年 新築価格の30〜50%程度 耐震基準(1981年以前・以後)が評価に影響
築31年以上 建物評価はほぼ土地値に近づく傾向 立地次第で土地として需要が生まれることも

※上記はあくまで参考値であり、実際の売却価格を保証するものではありません。

築年数が売却相場に影響する具体的な理由

築年数が売却相場に影響する具体的な理由

築年数が価格に影響するのは、単に「古いから」という理由だけではありません。いくつかの具体的な要因が複合的に絡んでいます。

耐震基準の違い

日本では1981年(昭和56年)に建築基準法が改正され、新耐震基準が導入されました。この年以前に建てられた住宅は「旧耐震基準」に基づいており、現行基準と比較して耐震性能に差があるとされています。

住宅ローンの審査においても、旧耐震基準の物件は融資を受けにくいケースがあり、買い手の選択肢が狭まることで市場での売却しやすさに影響することがあります。築43年以上(2024年時点で1981年以前竣工)の物件を売却する際は、この点を念頭に置いておくと判断の整理がしやすくなります。

設備・内装の経年劣化

キッチン・浴室・給湯器・外壁・屋根などの設備や建材は、年数とともに劣化します。リフォームや修繕の履歴がある物件は、同じ築年数でも評価が上がることがあります。逆に、メンテナンスが行き届いていない物件は、築年数以上に価格が下がる可能性もあります。

市場における需要の変化

中古住宅市場全体の動向も、築年数帯ごとの需要に影響します。近年は中古住宅へのリノベーション需要が高まっており、築古物件でも条件次第で一定の需要が生まれるケースがあります[1]。市場環境は時期によって変化するため、売却を検討する時点での市場状況を把握することが重要です。

売却にかかる費用の基本:手取り額を把握するために

売却相場を調べる際、売却価格だけでなく「手取り額」を把握することが重要です。売却価格から各種費用を差し引いた金額が実際に手元に残る金額になります。

主な費用の種類と目安

不動産売却時には、主に以下の費用が発生します[1]

費用項目 金額の目安 備考
仲介手数料 売買価格×3%+6万円+消費税(上限) 400万円超の物件の場合の速算式
印紙税 1,000円〜60,000円程度 売買契約書の契約金額により異なる
抵当権抹消登記費用 1〜3万円程度 住宅ローン残債がある場合に必要
住宅ローン一括返済手数料 0〜33,000円程度 金融機関により異なる
ハウスクリーニング等 3〜15万円程度(任意) 内覧対応のために実施することも

仲介手数料の計算式「売買価格×3%6万円+消費税」はあくまで法定上限です。これは仲介会社に支払う報酬の上限を定めたものであり、実際の金額は売買価格によって変わります。

売却価格帯別の仲介手数料シミュレーション

売却価格 仲介手数料(上限・税込) 印紙税(目安)
1,000万円 約39.6万円 5,000円
2,000万円 約72.6万円 10,000円
3,000万円 約105.6万円 20,000円
4,000万円 約138.6万円 20,000円
5,000万円 約171.6万円 30,000円

※消費税10%で計算。印紙税は軽減措置適用後の目安。実際の金額は条件により異なります。

税金の基本:譲渡所得と特別控除の考え方

税金の基本:譲渡所得と特別控除の考え方

売却益が出た場合、譲渡所得税が発生する可能性があります。税務上の仕組みを基本的な部分だけ整理しておきましょう。なお、具体的な税額の計算や適用条件の判断は、税務署または税理士への確認が必要です。

譲渡所得の計算式

譲渡所得は以下の計算式で求めます。

譲渡所得 = 売却価格 −(取得費 + 譲渡費用)

取得費とは物件を購入したときの費用(購入価格+購入時の諸費用)、譲渡費用とは売却にかかった費用(仲介手数料など)を指します。取得費が不明な場合は、売却価格の5%を概算取得費として使用できる場合があります。

所有期間による税率の違い

譲渡所得税の税率は、売却した年の1月1日時点での所有期間によって異なります[1]

所有期間(1月1日時点) 区分 税率(復興特別所得税含む)
5年以下 短期譲渡所得 39.63%(所得税30.63%+住民税9%)
5年超 長期譲渡所得 20.315%(所得税15.315%+住民税5%)

所有期間の判定は「実際に何年住んだか」ではなく、売却した年の1月1日時点での所有年数で行われる点に注意が必要です。

3,000万円特別控除の概要

マイホーム(居住用財産)を売却して利益が出た場合、一定の条件を満たせば譲渡所得から最大3,000万円を控除できる制度があります[1]。主な適用条件は以下のとおりです。

  • 売却する物件が自分の居住用財産(マイホーム)であること
  • 売却先が配偶者・親族等の特殊関係者でないこと
  • 前年・前々年にこの特例を受けていないこと

この控除が適用されると、多くのケースで実際の税負担が大幅に軽減される可能性があります。ただし、適用条件は細かく定められており、多くの場合税務署または税理士に確認することが重要です。

前提・注意
  • 売却価格は物件の立地・状態・市況で大きく変わります。
  • 税制や法律は変更される可能性があります。
  • 具体的な判断は不動産会社や専門家への確認が前提です。

売却の基本的な流れ:全体像を把握する

売却を検討する段階で、全体の流れを把握しておくと、各ステップで何を考えるべきかが整理しやすくなります。

仲介売却の一般的な手順

  1. 相場調査:周辺の成約事例や公示地価などをもとに、おおよその価格帯を把握する
  2. 査定依頼:不動産会社に物件の査定を依頼し、売却可能価格の目安を確認する
  3. 媒介契約の締結:不動産会社と売却活動の契約を結ぶ(専属専任・専任・一般の3種類
  4. 販売活動:不動産会社がポータルサイトへの掲載・チラシ配布等で買い手を探す
  5. 内覧対応:購入希望者が物件を見学する機会に立ち会う
  6. 売買契約の締結:買い手が決まったら売買契約を締結し、手付金を受け取る
  7. 決済・引渡し:残代金を受け取り、物件を引き渡す(同日に登記手続きも行われる)

売り出しから成約まで、一般的には3〜6ヶ月程度が目安とされていますが、物件の立地・築年数・価格設定・市場動向によって大きく変動します。「3ヶ月で売却できる可能性がある」という保証はなく、余裕を持ったスケジュールで進めることが重要です。

媒介契約の3種類と特徴

契約の種類 依頼できる会社数 自己発見取引 レインズ登録義務 活動報告義務
専属専任媒介 1社のみ 不可 5営業日以内 1週間に1回以上
専任媒介 1社のみ 7営業日以内 2週間に1回以上
一般媒介 複数社に依頼可 任意 義務なし

いずれの契約も最長3ヶ月(更新可)です。専任・専属専任媒介は1社に集中してサポートを受けられる一方、一般媒介は複数社が競って買い手を探すという違いがあります。どちらが適しているかは、物件の特性や売主の状況によって異なります。

仲介と買取:2つの売却方法の違い

仲介と買取:2つの売却方法の違い

不動産の売却方法は大きく「仲介」「買取」に分けられます。築年数が経過した物件の場合、どちらの方法が合っているかを検討することも重要です。

比較項目 仲介 買取
売却価格 市場価格に近い水準を期待できる 市場価格の70〜80%程度が目安
売却期間 3〜6ヶ月程度(目安) 最短1〜4週間程度
仲介手数料 発生する 原則不要
内覧対応 必要 不要
契約不適合責任 売主が負う(一定期間) 免責になることが多い
向いている物件 立地・状態が良く需要が見込める物件 築古・訳あり・早期売却が必要な物件

買取は仲介と比べて手取り額が少なくなる傾向がありますが、傾向として・短期間で売却できるという利点があります。築年数が相当経過していて仲介での売却が難しいと判断される場合や、相続・転勤など期限のある事情がある場合には、買取を検討する選択肢もあります。どちらが合理的かは状況次第です。

具体的なシナリオで考える:状況別の判断の分かれ方

もし:シナリオ①:築28年の一戸建てを相続したケース
→ 地方都市の駅から徒歩15分、築28年の木造一戸建てを親から相続したケースを考えてみます
もし:シナリオ②:築12年のマンションを住み替えで売却するケース
→ 都市部の駅近、築12年のマンションを売却して新居に住み替えるケースを考えます

シナリオ①:築28年の一戸建てを相続したケース

地方都市の駅から徒歩15分、築28年の木造一戸建てを親から相続したケースを考えてみます。物件は旧耐震基準の建物ではありませんが(1981年以降竣工)、外壁の塗り替えは10年以上行われておらず、水回りも交換が必要な状態です。相続人は遠方在住で、物件の維持管理が難しい状況です。

このようなケースでは、仲介で売り出した場合、内覧対応のたびに遠方から移動する手間が発生します。また、買い手がつくまでの間も固定資産税・管理費用が継続します。一方で、買取を選択すれば2〜4週間程度で手続きが完了する可能性がありますが、売却価格は仲介と比べて低くなる傾向があります。

この判断は「いくらで売れるか」だけでなく、「いつまでに売る必要があるか」「維持コストをどう考えるか」「遠方からの対応負担をどう評価するか」という複数の観点から検討することになります。仲介で市場価格に近い金額を目指すか、買取で確実・迅速に完了させるかは、売主の状況によって合理的な判断が異なります。

シナリオ②:築12年のマンションを住み替えで売却するケース

都市部の駅近、築12年のマンションを売却して新居に住み替えるケースを考えます。物件の状態は良好で、管理組合の修繕積立も適切に行われています。住み替え先の購入タイミングとの兼ね合いから、売却に使える期間は4〜5ヶ月程度です。

この場合、築12年という年数は中古市場において需要が見込みやすい範囲に入ることが多く、仲介での売却が現実的な選択肢になります。ただし、売り出し価格の設定が重要で、相場より高すぎると期間内に成約しないリスクがあります。

複数の不動産会社に査定を依頼し、査定価格の根拠(周辺の成約事例・物件の個別条件)を比較することで、適切な売り出し価格の検討材料が得られます。住み替えの場合、売却と購入のタイミングを調整する必要があるため、スケジュール管理も重要な判断軸になります。

査定を理解する:価格の「目安」と「保証」の違い

査定を理解する:価格の「目安」と「保証」の違い

売却相場を把握するための手段として、不動産会社への査定があります。査定には主に2種類あり、それぞれ特徴が異なります。

机上査定と訪問査定の違い

査定の種類 方法 所要時間 精度
机上査定(簡易査定) 物件情報と周辺の取引事例から算出 数時間〜翌日程度 やや低い(概算)
訪問査定(詳細査定) 不動産会社が実際に物件を確認して算出 1〜2週間程度 高い(個別条件を反映)

どちらの査定においても、査定価格はあくまで「この価格帯で売れる可能性がある」という不動産会社の見立てであり、実際の売却価格を保証するものではありません。複数の会社に査定を依頼して比較することで、相場感をより正確に把握しやすくなります。

よくある誤解:売却前に整理しておきたい3つの勘違い

誤解①「査定価格が高い会社=良い会社」とは限らない

複数社に査定を依頼すると、会社によって査定価格に差が出ることがあります。このとき、査定価格が高い会社を選びたくなるのは自然な心理ですが、注意が必要です。

極端に高い査定価格は、媒介契約を獲得するために意図的に高く提示している可能性があります(いわゆる「高預かり」)。実際に売り出してみると買い手がつかず、その後に値下げを求められるというケースもあります。査定価格の数字だけでなく、「なぜその価格になるのか」という根拠(周辺の成約事例・物件の強み・弱みの分析)を確認することが重要です。

誤解②「築年数が古い=売れない」わけではない

築年数が経過した物件でも、立地条件が良ければ一定の需要があります。特に都市部の利便性の高いエリアでは、築古物件をリノベーションして使いたいという需要が存在します。また、土地値が高いエリアでは、建物を解体して更地として売却するという選択肢もあります。

「築年数が古いから売れない」と最初から決めつけず、物件の立地・土地の形状・周辺の需要状況などを総合的に確認することが、適切な判断につながります。

誤解③「仲介手数料は多くの場合3%6万円+消費税かかる」わけではない

「売買価格×3%6万円+消費税」は仲介手数料の法定上限であり、この金額を多くの場合支払わなければならないという意味ではありません。不動産会社との交渉によって、上限より低い手数料で合意するケースもあります。

ただし、手数料の引き下げが販売活動の質に影響することもあるため、単純に「手数料が安い=良い」とも言い切れません。費用の交渉をする場合は、販売活動の内容や会社の実績も合わせて確認することが重要です。

築年数と住宅ローン控除:買い手への影響も考える

築年数と住宅ローン控除:買い手への影響も考える

売却相場を考える際、買い手がどのような条件でローンを組めるかも間接的に影響します。住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)の適用については、物件の築年数や耐震性能に関する条件が定められており、条件を満たさない物件は買い手のローン計画に影響することがあります。

具体的な適用条件は税制改正により変更されることがあるため、最新の情報は国税庁や税務署で確認することが重要です。売却する側としては、自分の物件が買い手にとってどのような条件になるかを把握しておくと、価格設定の参考になります。

まとめ:築年数と売却相場の関係を整理する

家の売却相場と築年数の関係について、この記事で整理した主なポイントをまとめます。

  • 築年数は売却相場に影響する重要な要素だが、立地・構造・管理状態・市場環境も複合的に影響する
  • 建物価値は年数とともに下がる傾向がある一方、土地の価値は築年数の影響を受けにくい
  • 木造住宅の法定耐用年数は22年だが、これは税務上の基準であり「22年で売れなくなる」わけではない
  • 売却時の手取り額を把握するには、仲介手数料・印紙税・登記費用などの諸費用を差し引いて考える必要がある
  • 売却益が出た場合は譲渡所得税が発生する可能性があり、所有期間5年超か以下かで税率が異なる
  • 仲介と買取では売却価格・期間・手続きの負担が異なり、どちらが合理的かは状況次第
  • 査定価格はあくまで目安であり、複数社の根拠を比較することが重要

物件や状況によって考え方は変わります。ここで整理した内容はあくまで一般的な傾向であり、実際の売却価格は個別の物件条件・市場環境・交渉経緯によって異なります。

より具体的な比較検討の方法や、実際に売却を進める際のポイントについては、別の記事で詳しく解説しています。

※本記事の情報は一般的な情報提供を目的としており、個別の物件や状況により判断は異なります。税務・法務に関する具体的な判断については、税理士・司法書士等の専門家にご相談ください。